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アフリカゾウの「稽古相手」
 └─2009/10/16

 今年(2009年)3月、アフリカゾウのメス「アイ」が群馬サファリパークに旅立ちました。その後、3頭のメス(アコ、マコ、チーキ)は、それぞれの放飼場に1頭ずつ出しています。これは、昨年の秋から展示できずにいるアコを放飼場に出すためでもあります。つまり、アコと折り合いのよいマコを、アコの寝室に近い第2放飼場に出しておくためです。

・ニュース「アフリカゾウ『アイ』の嫁入り修行
・ニュース「アフリカゾウ舎の今

 お互いにスキンシップがとれない状況でも楽しんで過ごせるように、2009年9月16日の休園日、丸太で作った遊具を3年ぶりに新調しました。

 およそ直径30センチ、長さ3.5 メートル超の丸太を、チーキのいる第1放飼場では「スパーリング棒」(押したり蹴飛ばしてたりして遊ぶための棒)として、鉄骨の支柱を使って高さ約6メートルの高さからつるしました。マコのいる第2放飼場では、基礎を地下に埋め込んだ金具に、長めのチェーンでとめました。

 翌朝、それぞれの放飼場に出た2頭は、あたらしい丸太を遠巻きに見ながら近づき、軽く匂いをかいだだけでした。しかし、午後になると、チーキがいつものように頭で押したり、後ろ足で蹴飛ばして遊んだりするようすが見られました。

 マコは鼻先でちまちまと丸太の樹皮をはがして食べていました。樹皮の3分の1ほどがなくなり、なめらかな木肌をさらしている2本の丸太は、現在、なかまにかわる「稽古相手」となっています。

写真上:肩で丸太を押すチーキ
写真下:丸太を鼻先で抱えて起こし、立てているマコ。鼻の基部とひたいで支え、バランスを取っている

〔多摩動物公園北園飼育展示係 中尾理幸〕

(2009年10月16日)



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