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コアラの赤ちゃんが生まれました!!
 └─2009/04/25

 コアラの「ミリー」に待望の赤ちゃんが誕生──といっても昨年(2008年)10月25日のことです。コアラはカンガルーと同じ有袋類のなかま。交尾後約35日で赤裸の赤ちゃんを産みます。赤ちゃんは自力でお母さんの袋(育児嚢[いくじのう])に移動し、袋の中に二つある乳首のどちらかに吸いつきます。そこで母乳を飲み、袋から出てくるのは、誕生後半年経ってからです。こうして、袋から全身が出てくることを「出袋」といいます。

 誕生日の10月25日からまもなく半年。4月15日には前足、4月20日には頭を出しているところを目撃しました。うまくいけば、母親が排泄する「パップ」を子どもが食べるところを観察できるかもしれません。コアラは離乳してユーカリを食べ始める前に、母親の未消化便を食べます。

 母親の通常の便は黒色で粒場ですが、パップはゼリー様の黄色い軟便です。これを食べることで、子どもはユーカリを分解するのに必要なバクテリアを母親から受け取ります。コアラの袋は入口が下向きになっている(お尻に近い方が入口になっている)のですが、これは、袋から頭を出した子どもがパップを食べやすいようになっているのだといわれています。

 コアラの赤ちゃんというと、ふわふわの毛をまとった愛くるしいすがたを思い浮かべるかもしれませんが、出袋したばかりのコアラは体全体がほっそりとしていて、毛もまだ短く、愛くるしいとはいえません。体を折りたたみ、狭い育児嚢にすっぽり入れるようにスリムな体つきをしているのです。

 「コアラの離乳食」、そして「ほっそりしたコアラ」。一日の中でも活動する時間帯が限られてはいますが、この段階のコアラの赤ちゃんを目にする機会はあまりありません。外出にもよい季節になりました。ぜひ多摩動物公園のコアラ館までお出でください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕

(2009年04月25日)



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