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アフリカゾウ「アイ」の嫁入り修行
 └─2009/02/20

 昨年(2008年)10月、アフリカゾウのアイ(推定27歳)の“嫁入り修行”を始めました。アイは1996年に姫路セントラルパークから来園し、タマオとのとのあいだに2頭を出産しました。

 しかし、2006年夏にタマオが急死したため、多摩動物公園にはオスのアフリカゾウはいなくなりました。そこで、繁殖適齢期のオスがいる群馬サファリパークへの“お嫁入り”が決まったのです。

 “嫁入り修行”といっても、具体的には、アイが入る輸送箱と、アイを輸送箱につなぐためのチェーンに慣らす訓練です。輸送箱に慣らすのは、見知らぬ場所に不安を抱かないよう、アイに「ここは安全だよ」とわかってもらうためです。また、多摩動物公園では、ふだんチェーンを使ってゾウを係留することがないため、移動の際に突然係留すると、アイが驚いて予想できない行動をとるおそれがあります。みなさんがアフリカゾウにだくイメージとちがうかもしれませんが、ゾウはとても神経質なんですよ?

 訓練は、箱、それからチェーンと段階をふんでおこないます。最初、箱に慣れさせようとしたとき、アイは警戒して体半分しか入ることができず、へっぴり腰の状態で鼻だけのばし、箱の中に置かれた果物を取っていました。

 チェーンも最初のうちは、足にものを巻かれることに慣れてもらおうと考え、まず、ワラのひもを巻くことから始めましたが、ワラはいつもの餌に入っていることもあってか、器用にほどき、すぐ食べてしまいまいた。

 しかし、アイちゃんはじつはすごく物おぼえがよく、4回も練習すると、こちらの意図を理解してくれました。ワラのひもをすぐほどいて食べたりすることもなくなり、今ではチェーンを巻かれても落ち着いています。

 現在、朝と夕方の2回、アイを輸送箱の中に入れ、引越しの訓練をしています。日中にも運動場で訓練をしているので、もしかすると訓練中のアイのすがたを見かける機会があるかもしれません。そのときは、急に声をかけるとアフリカゾウが驚いてしまうので、心の中で「アイちゃんがんばれ」と応援してやってください。そして、まだアイと会ったことがない方は、ぜひとも大急ぎで多摩動物公園にご来園ください!

写真上:体半分しか輸送箱に入れないアイ
写真中:輸送箱に入る直前のアイ
写真下:チェーン係留をしているところ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本寛二〕

(2009年02月20日)



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