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ウミガラスの白黒模様
 └─2008/04/25

 ペンギンによく間違えられるウミガラスは、体の羽の色が白と黒だけです。しかしこの季節、葛西臨海水族園のウミガラスたちをよく見ると、個体によってその配色はさまざまですす。

 背が黒色で、胸から腹部が白色であるのはどの個体も同じですが、頸(くび)から上の配色がさまざまなのです。その部分が真っ黒な個体もいますし、白色に少し黒色のブチが入っただけの個体もいます。これは、頭の羽が白色から黒色へ生えかわりつつあるからです。

 すでに真っ黒になっている個体は5歳以上のおとなです。この黒い頭模様は「夏羽」と呼ばれる繁殖羽で、繁殖活動が終了する8月までは黒色、それからふたたび非繁殖時の白色へと変化します。

 一方、まだ黒くなっていないのは若い個体で、黒ブチが少ないほど若い個体とわかります。2歳以上の個体はもうしばらくすると真っ黒になりますが、昨年生まれの個体の多くは真っ黒ではなく、ブチ模様となった後、おとなたちと同様、白色に変わっていきます。

 ウミガラスにはもう一つ不思議な模様が見られます。頭部が真っ黒な個体をよく見て下さい。目のまわりに白いリングがあり、そこから頸の方にゆるやかにカーブした白い線模様がある個体と、黒色だけの個体がいます(この白い線模様そのもの、あるいは白い線模様をもつ個体を「ブライドル」と呼びます。英語で馬の「くつわ」のことです)。

 この模様は一生変わりません。同じ群れの中にも両方のタイプがいて、その比率が分布地域によって異なります。日本に渡来する群れには、ほとんどブライドルがいないといわれています。なお、この模様がある意味はよくわかっていません。

写真:右手前の個体が「ブライドル」
   一番左の個体は頭部換羽中

〔葛西臨海水族園飼育展示係 福田道雄〕

(2008年04月25日)



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