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水槽掃除の頼もしい助っ人、ウミフクロウ
 └─2007/12/28

 今年(2007年)も残すところ後数日。みなさん、年末の大掃除はもうおすみですか? 葛西臨海水族園は、12月29日から来年1月1日まで休園します。でも飼育係はこの期間、じつは大忙しです。水槽の掃除はもちろん、展示生物の入れ替えやレイアウトの変更など、このような休園日にしかできない大きな作業がいろいろあります。

 今回は、年末にかぎらず日々欠かすことのできない水槽の「掃除」についてお話します。

 水槽には、さまざまな「汚れ」が発生します。アクリルや壁には藻が生え、水槽底の砂や岩の上にもいろいろな「ゴミ」が少しずつ溜まっていきます。これらは、水槽の上から専用の掃除道具を駆使してこすり落としたり、サイフォンで吸い出したり、ときには水槽に潜って掃除をしたりすることもあります。

 また、入れたつもりのない生き物が水槽内でどんどん増えてしまうことがあり、本来の展示生物にも悪影響を与えることがあります。このような生き物も、「汚れ」同様、水槽から取り除かなくてはなりません。この代表が、チギレイソギンチャクやセイタカイソギンチャクなどのイソギンチャクのなかまです。

 これらは、へたにこすり落とそうとして、体の一部が千切れて残ったりすると、それが、新たに小さなイソギンチャクとなり、どんどん増えてしまいます。そんな厄介者のイソギンチャクを、われわれ飼育係は「ジャマギンチャク」と呼んでいます。

 完全に駆除するのは難しい「ジャマギンチャク」ですが、じつはとても頼もしい助っ人がいます。それは、ウミウシのなかまのウミフクロウやエビのなかま、トゲチョウチョウウオなどです。これらの生物は、「ジャマギンチャク」を好んで食べるため、少しずつですが確実に数を減らしてくれます。

 「東京の海」エリアの「東京湾にもいるこんな生物」水槽では、現在ウミフクロウが活躍しています。ウミフクロウは大きさ3~4センチほどで、まわりの砂や岩とよく似た色をしていて目立たないのですが、水槽底のイソギンチャクが着いている岩の周辺をよく見ると、イソギンチャクをムシャムシャ食べているウミフクロウを見ることができるかもしれません。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 児玉雅章〕

(2007年12月28日)



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