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深海の大きなスパイダー? タカアシガニ
 └─2007/06/08

 「スパイダー」(クモ)といっても、陸上のクモのことではありません。今回ご紹介するのは、「深海の生物」コーナーの3番目の水槽で展示しているタカアシガニです。

 タカアシガニは、クモガニ科に属する世界最大のカニです。成長したオスは、両脚を広げると、なんと4メートルちかくあります。クモガニという科の名前の由来は、長い脚がクモに似ているところから来ているのでしょう。よく知られたカニでは、ズワイガニなども同じクモガニ科に属します。

 カニは横にすばしっこく歩くイメージがありますね。かれらは、脚の関節のつくりにより、横に歩くのが得意なのです。しかし、このタカアシガニは、甲羅が丸く、脚の関節の部分に余裕があるので、前に進むのもじょうずです。

 現在展示しているタカアシガニは、4メートルとまではいきませんが、脚をひろげると2メートルちかく(甲羅の幅は約30センチ)あるオスです。クモのような長い脚で甲羅を持ちあげるようにして、ゆっくりと歩きます。

 オスはメスに比べると大きなハサミをもっています。交尾の際、メスをかかえるのに、この大きなハサミが役に立つのです。以前、葛西臨海水族園でオスがメスを抱えていたところを撮影たのが、写真下です。

 大きな体のタカアシガニも、生まれたばかりの幼生は 1.5ミリほどの小ささです。その後、脱皮をくり返しながら、大きく成長していきます。広げて4メートルになるまでに何度脱皮をして何年かかるのか、その成長の詳細についてはまだ知られていません。

写真上 影を見てください。クモみたいでしょ?
写真中 カニの眼は、小さな眼がたくさん集まってひとつの眼をつくっている「複眼」です。昆虫とよく似ていますね。
写真下 オスがメスを抱えているところ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 高濱由美子〕

(2007年6月8日)



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