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海のイチゴ畑、ストロベリーアネモネ
 └─2007/01/26

 突然ですが、みなさんの好きな果物は何ですか? この季節、旬のリンゴやミカンをはじめ、さまざまな果物が出まわっていますが、今なら、真っ赤で甘酸っぱいイチゴをよく見かけるのではないでしょうか? クリスマスやバレンタインといったイベントにもかかせない果物ですよね。じつは、海にもイチゴのようなかわいらしい生き物がいます。

 葛西臨海水族園の「世界の海」エリアの「カナダ沿岸」水槽では、ホワイトプルームドアネモネやフィッシュイーティングアネモネなど、ひときわ大きなイソギンチャクが目をひきます。目をこらすと、砂の上や岩の上に、小さな紅色の花がたくさん咲き、まるでお花畑のようです。

 これらは植物のようにも見えますが、じつはれっきとした「動物」です。ストロベリーアネモネというイソギンチャクの一種で、花びらのように見える部分は「触手」(しょくしゅ)と呼ばれ、中には刺胞(しほう)という毒針をもっています。

 イソギンチャクは、餌となる動物プランクトンや小動物(エビや小魚)が触手に触れると刺胞を発射し、刺胞の毒で獲物をマヒさせ、触手を使って口に運びます。また、敵におそわれたときも刺胞を使って身を守ります。このため、イソギンチャクのなかまは「刺胞動物」といわれます。じつは、サンゴやクラゲも、刺胞動物のなかまなのです。

 「3号水槽」のストロベリーアネモネには、午前2回と午後2回、餌としてブラインシュリンプ(動物プランクトン)をあたえています。ストロベリーアネモネも餌となるブラインシュリンプも、とても小さいのですが、水槽をのぞくと、ストロベリーアネモネが触手で餌を捕らえて食べるシーンが見られます。ぜひ、葛西臨海水族園でじっくり観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木聡子〕

(2007年01月26日)



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