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荒波の頑固者、ジンガサウニ──2006/11/17

 岩の上をぴょんぴょんと跳ねるタマカエルウオが人気の「小笠原潮だまり」水槽。この水槽には、あまり目立ちませんが、ぜひ注目していただきたい生き物がいます。それは、岩の上や岩かげにいる黒くて丸い謎の物体、「ジンガサウニ」です。

 サムライがかぶっていた「陣笠」に似ていることから名づけられたそのすがたは、陣笠というより河童の頭? 未確認飛行物体?──といった不思議なかたちをしています。

 見た目にトゲはありませんが、名前のとおり、ジンガサウニもウニのなかまです。トゲは丸く短く変化したのです。八丈島から小笠原まで、波の荒い岩場に生息しています。

 丸いかたちだと、荒波に巻かれて転がってしまわないの?とギモンに思われるかもしれません。でも心配無用。先端に吸盤のある伸縮自在の足、「管足」(写真)を使ってしっかり岩にくっついているのです。

 この管足、ちょっと飼育係泣かせのところもあります。水槽から移動させるとき、タイミングをはかって上手にはがさないと、ちょっとやそっとの力では動かなくなります。はがす手を一度逃れると、どんなことをしても岩にしっかりとしがみつき、動かなくなる頑固者です。食用にもされていますが、殻もかなり頑固(硬い!)なので、大型の出刃包丁などで叩き割らないと中の身までたどりつきません。残念ながら私は食べたことがありませんが、どんな味なのでしょう……。

写真上:岩上のジンガサウニ
写真下:ジンガサウニの「裏側」。管足が見える

〔葛西臨海水族園飼育展示係 細野潤子〕

(2006年11月17日)



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