葛西臨海水族園には飼育展示係や教育普及係など、さまざまな部署があります。
今年35周年を迎える記念企画の一つとして、各部署のリーダーたちが「理想の展示・水族館」や「今後の仕事でやりたいこと・夢」などをテーマに「水族園リーダーたちの夢」と題してして連載記事を掲載します。
第4回「楽しく学べる水族園」
水族館を訪れる理由は人それぞれですが、気軽に訪れることができ、自分なりの楽しみ方を見つけて、楽しんだり学んだりできるのが水族館の魅力のひとつだと思います。
水族園は、東京周辺の水辺や、目の前の東京湾から小笠原、世界各地の海域、極地や深海まで、多様な環境に生息する生きものの展示をしているのが大きな特徴です。
私が所属している教育普及係では、おもに水族園の教育普及活動や広報を担当しており、来園された方向けに、園内でのガイドツアーや各種スポットガイドを実施したり、「情報資料室」では展示生物に関連する標本や書籍などをそろえ、質問にお答えしたりしています。園内で活動しているボランティアグループの「
東京シーライフボランティアーズ(T.S.V.)」によるスポットガイドもおこなっていて、来園された方の生きものへの興味や関心、理解を深めるお手伝いをしています。
「情報資料室」には生き物についての質問にお答えするため、スタッフが常駐しています
ほかにも、教育プログラムの実施や、講演会やイベントの開催、園内だけでなく、園外のフィールドでのプログラムなども実施しています。また、都内(島しょをのぞく)の、水族園への来園が難しい方々のいる学校、病院や施設などのための移動水族館活動もあり、幅広い教育普及活動を展開しています。
最近、「インクルーシブ」という言葉がふつうに使われるようになってきました。水族園にはさまざまな方が来園されますが、教育普及活動を通して、今まで以上に、誰でも利用しやすく、楽しく学べるような場所を目指していきたいです。そして、水族園での体験が、海や川などの生きものに興味を持ち、自然のフィールドに目を向けていただくきっかけになればうれしいです。そのうえで、海や川などで生きものを見つけたり捕まえたりしたときに、ドキドキしたりワクワクしたりしていただけたら、と思っています。
私たち水族園職員も、水槽の生きものを毎日観察していて気がつくことや驚くこと、学ぶことがたくさんあります。基本的な生きものの情報はもちろん、そのような旬な情報も集めつつ、開園35周年を迎える水族園で、みなさんのご来園をお待ちしています。
〔葛西臨海水族園教育普及係 佐藤薫〕
・連載:35周年企画「水族園リーダーたちの夢」
[1]水族園の展示に込める思い
[2]水族園の目指す道──ずっと身近でいてほしい
[3]水族園を背後で支える施設の維持管理の仕事に携わってみませんか
(2024年07月26日)