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ヘコアユのユニークな体のひみつ
 └─ 2024/05/10
 葛西臨海水族園の「世界の海」エリアでは、世界中の海で見られるユニークな姿形をした魚をたくさん展示しています。今回はそのうちのひとつ、「インド洋1」水槽で展示しているヘコアユをご紹介します。

 ヘコアユの体は薄く細長い形をしています。体表は硬くて透明な甲板というもので覆われていて、体を曲げることなく真っ直ぐな姿勢で泳ぎます。 体の中央にスッと伸びる黒い帯模様も特徴的です。口は細いストロー状になっており、水中に漂うプランクトンなどの小さなえさを吸い込むようにして食べます。


細長く平べったい形をしたヘコアユ

 ヘコアユはユニークな体をしていますが、泳ぎ方にはもっと変わった特徴があります。多くの魚は頭を進行方向に向けて泳ぎますが、 ヘコアユは頭を真下に向けて逆立ちのような姿勢で群れをつくり、水中を水平方向にスーッと進んだり、同じ場所にじっととどまっていたりします。一見ただ水流に乗って漂っているように見えますが、よく見ると上の方に小さな透明のヒレが付いていて、ヒラヒラと細かく動いているのがわかります。

 では、どうしてこのような風変わりな泳ぎ方をするのでしょうか。

 ヘコアユがすんでいるのは、海草が生い茂る藻場という環境です。展示水槽でも、リュウキュウスガモという海草とともに展示をしており、ヘコアユが縦に泳ぎながらこの隙間に入ると、スガモに紛れ、その姿を見失うことがよくあります。体の黒い帯模様もスガモとよくマッチし、紛れるのに一役かっているようです。さらに、細長く平べったい体は角度によっては一本の直線にしか見えず、捕食者からは「線」のように認識されるのでしょう。


リュウキュウスガモに紛れるヘコアユ

 ヘコアユの細長く平べったい体とその泳ぎ方は、身を守るのに役立っているようです。みなさんも展示水槽で上手に身を隠すヘコアユたちを、ぜひ観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 松本あかり〕

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(2024年05月10日)



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