ニュース
飼育係が実践しているハワイ沿岸水槽のえさやりのコツ!
 └─ 2024/02/09
 葛西臨海水族園の「世界の海」エリア「ハワイ沿岸」水槽では、ハワイ諸島でしか見られない固有種の魚を展示しています。ハワイ諸島は、海底火山活動により島ができ、今までに一度も大陸とつながったことのない海洋島です。岸近くにすむ魚が、周りに大きな海流がないハワイ諸島に何らかの偶然のタイミングでいつき、独特の生物相を形成したことで、陸上だけでなく、海の中でも固有種が多く見られます。


「ハワイ沿岸」水槽

 「ハワイ沿岸」の水槽ではミレットシードバタフライフィッシュやハワイアンクリーナーラスなど、さまざまな魚を展示しており、どの魚も食欲旺盛です。水槽内の魚にえさを与えても、十分にえさが行き渡らなかった場合、調子を崩したり、痩せてしまうこともあります。魚を健康に飼育するためには、こまめにえさを与えることが重要です。

 一方で、たくさんえさを与えすぎてしまうと、えさが水底に残って水を汚してしまい、病気の原因になるため、一度に与える量にも注意しています。展示している魚の中でも、食べる勢いが強いのが、ひときわ水槽内で鮮やかな体色が目立つハワイ諸島の固有種でベラ科のサドルラスです。水槽のそばに飼育係が立つと、真っ先に水面にあらわれます。


鮮やかな体色のサドルラス

 サドルラスは歯が鋭い魚で泳ぎがすばやく、水槽の中では体も口も比較的大きく、えさを独占したり、ほかの魚に歯が当たり傷つけたりしてしまうことがあるため、注意してえさを与えています。

 えさを与えるくふうのひとつとして、まず水槽を泳ぎ回っているサドルラスにサクラエビやオキアミ、ぶつ切りにした甘エビの殻を剥いたものなど、少し大きめのえさを先に与えて落ち着かせます。次にサドルラスの食べ具合を見ながら、ほかの魚にも小さいえさを与えていきます。すばやく泳いでいたサドルラスの食欲が少し満たされると、ゆっくり泳ぎ始め、水槽内のほかの魚も落ち着いてえさを食べることができるようになります。


えさを与えている飼育係

 水族園で展示している生物の種類は多く、組み合わせは異なるため、飼育係は水槽ごとにえさの与え方をくふうしています。えさは基本的に毎日与えています。魚が元気に泳いでいる姿を、ぜひ見に来てください!

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村雪乃〕

(2024年02月09日)



ページトップへ