葛西臨海水族園では、「世界の海」エリア「紅海」の水槽へ、2023年1月にソハールを新たに展示しました。
ソハールは、サンゴ礁の浅い場所に生息する紅海固有のニザダイ科の魚で、全長約40cmに成長します。白い体に黒い縦縞模様を帯び、尾びれのつけ根にあるオレンジ色の部分には鋭いとげをもっています。同じ種やほかの種の魚たちとけんかをしたり外敵に襲われたりしたときには、このとげを用いて攻撃します。ソハールは海藻を好むため、水槽内でも海藻をパクパクとついばむようすが見られます。
水槽内に生えた藻類をついばむソハール
今回新たに展示したソハールは、当園に搬入した当初は全長10cmに満たないほどの大きさでした。展示水槽に入れるには小さすぎるため、まずはバックヤードの予備水槽で大きく育てることにしました。予備水槽では、ソハール1尾をひとつの水槽で飼育していたため、ほかの魚たちとのけんかやえさの取り合いもなく、のびのびと成長していきました。8ヵ月かけて全長約15cmまでに成長したところで展示水槽に移すことにしました。
展示水槽には紅海に生息する多種多様な魚たちが混泳しており、全長30cmほどのイエローバンドエンゼルフィッシュやオールドウーマンエンゼルフィッシュなど体の大きな個体もいます。そのため展示水槽へ移動するときには、これまでとはまったく違う環境でうまくなじめるか心配でした。
ところが、いざ水槽へ入れてみると、1~2日ほどで落ち着き、すぐに展示水槽になじんでいきました。えさもほかの魚たちとの競争に負けることなく、元気に食べています。大きい魚たちがいるなかで新入りでも堂々としているようすに安心するとともに、気後れしない姿に感心しました。
これからも大事に育てて「紅海」の水槽のメインになってくれればと思います。今後のソハールの成長をぜひ見守ってくださいね。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 松本あかり〕
(2023年03月24日)