葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カリブ海」水槽に、フレンチエンゼルフィッシュとグレイエンゼルフィッシュの若い個体を展示しました。以前から展示している成魚と比べ、体の模様に違いがあるのがわかるでしょうか?
フレンチエンゼルフィッシュ(左:若い個体、右:成魚)
グレイエンゼルフィッシュ(左:若い個体、右:成魚)
フレンチエンゼルフィッシュとグレイエンゼルフィッシュは、おもにフロリダ半島からブラジル沿岸の西大西洋のサンゴ礁域に生息するキンチャクダイのなかまです。2種はよく似ていますが、フレンチエンゼルフィッシュは黒い体色に黄色に縁どられた鱗をもつこと、グレイエンゼルフィッシュはその名のとおり灰色の体色をしていることが特徴です。
今回は、帯模様があるフレンチエンゼルフィッシュとグレイエンゼルフィッシュをそれぞれ2尾ずつ展示しました。大きさは成魚に比べて半分ほどで、この帯模様は幼魚期の名残りとなります。幼魚の時期は、どちらも成魚とは異なり黒い体色に4本の黄色の帯模様が頭から尾にかけて入っているのが特徴です。これは、幼魚が成魚のなわばり内に入ってしまっても同種と認識されず、攻撃されないためだと考えられています。
水槽に入れてしばらくのあいだは隠れてしまって姿を見せないことが多かったですが、だんだんと水槽内の環境にも慣れ、いまではえさの時間以外も姿を見せるようになりました。体の帯模様が展示に出したころより薄くなってきた個体もいるので、若い個体が水槽内で順調に成長しているのがわかります。
ぜひみなさんも、いましか見られないエンゼルフィッシュたちの姿を観察しに来てください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸田遥香〕
(2022年05月20日)