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ゆったり泳ぐハナミノカサゴ
 └─ 2021/12/03
 葛西臨海水族園の世界の海エリア「南シナ海」水槽では、タマカイやドクウツボなどの大型魚から、アカマツカサやトガリエビスなどの中型魚まで、さまざまな魚を展示しています。

 今回は、大きな胸びれと背びれを広げ水槽をゆったりと泳ぐ、ハナミノカサゴを紹介します。

 ハナミノカサゴは海のなかでは、主に夜に活動しえさを食べているため、日中は岩陰やサンゴ礁でじっとしていることが多い魚です。しかし、水族園では開園中でも岩陰から出てきて水槽内をゆったりと泳いでいる姿が見られます。


南シナ海水槽全体

 ハナミノカサゴは大きなひれと縞模様が特徴的で、水槽内でも目立つ体をしています。大きなひれを広げてこの目立つ体をアピールしながら水槽内を泳いでいますが、何をアピールしていると思いますか?


ハナミノカサゴの泳ぐ姿と岩陰で休んでいる姿

 それは、「毒」があることです。

 ハナミノカサゴの背びれや臀(しり)びれには毒腺があり、身の危険を感じると、ひれにあるとげを外敵に向け、威嚇行為をして自分の身を守ります。また、ハナミノカサゴの白地に赤や茶色の縞模様は、海のなかや水槽内でもすぐに見つかる派手な体をしています。このような派手な体色や模様は「警戒色」や「警告色」と呼ばれ、周囲に自分は毒も持っていることをアピールするためと言われています。たとえば、アカハライモリの赤と黒の腹部の模様も警戒色と言われています。

 水族園ではえさの時間、周りの俊敏な魚に負けてしまわないように大型のピンセットを用いて直接ハナミノカサゴにえさを与えています。時折、背びれを大きく広げて周りの魚を牽制することもありますが、タマカイやネズミフグなどを器用に避けながらえさを食べています。食べる瞬間は泳いでいる姿とはかけ離れた俊敏な動きで、バグっとピンセットごとえさを持っていってしまうような勢いを見せます。

 水族園ではハナミノカサゴが日中ゆったりと泳ぐことがよくあるので、来園者の近くに姿を見せることがあります。間近でひれや体色を観察できる機会ですので、ぜひ来園された際は水槽内を探してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸田遥香〕

(2021年12月03日)



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