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イチモンジブダイを展示しました
 └─ 2021/11/19
 「東京の海」エリアの「小笠原の海4」水槽では、ユウゼンやオビシメ、ウメイロモドキなど小笠原周辺の海に生息している生き物を展示しています。

 今回は、この水槽で2021年9月20日から展示しているイチモンジブダイをご紹介します。


イチモンジブダイ

 イチモンジブダイは、日本では小笠原諸島や伊豆諸島などの比較的水深の浅いサンゴ礁で見られるブダイ科の魚です。実際に小笠原諸島へ調査に行った職員によると、小笠原のサンゴ礁ではたくさんのブダイのなかまを見ることができ、イチモンジブダイはもっともよく見かけるブダイのひとつだそうです。

 ブダイのなかまは、英語で「パロットフィッシュ」と呼ばれます。「パロット」とはオウムのことで、オウムのくちばしに似た形の歯を持つことに由来すると言われています。

 この歯はとても丈夫で、サンゴやサンゴに付着した藻類をかじりとって食べます。水槽内のイチモンジブダイをよく観察すると、岩をかじるような姿が見られ、岩の表面についている藻類を食べているようです。


【動画】イチモンジブダイが水槽内の岩をかじるようす

 イチモンジブダイは、たくさんの種類の魚が泳ぐ水槽では食べる速度が早い魚に食いつきで負けてしまい、水槽にまいたサクラエビやオキアミを十分に食べられないことがあります。一度やせてしまうと体形を戻すのには時間がかかるため、イチモンジブダイには、サクラエビやオキアミのほかに植物質の配合餌料をこまめに与えています。担当者として、イチモンジブダイの体形の変化などに早く気付けるように観察を続け、健康的な体形を保てるようにしたいです。

 ところで、サンゴ礁でくらすブダイのなかまとサンゴ礁をつくるサンゴは切っても切れない関係にあります。ブダイのなかまが死んだサンゴをかじることでサンゴの幼生が岩に付着しやすくなることや成長しやすくなることがわかってきており、サンゴ礁の再生に役に立つと考えられています。

 葛西臨海水族園でイチモンジブダイが岩をかじるようすをご覧いただき、広いサンゴ礁でも同じようにかじっている姿を想像していただけるとうれしいです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 森田夕貴〕

(2021年11月19日)



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