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野生のニホンコウノトリが葛西臨海水族園に初飛来しました!
 └─ 2021/09/24

 2021年9月7日、葛西臨海水族園32年の歴史のなかで、初めて野生のニホンコウノトリの飛来が確認されました。葛西臨海公園内では過去に観察されたことがあるそうですが、水族園に降り立ったのは初めてであり、非常にうれしいニュースです。

 その日の16時30分ごろ、「『水辺の自然』エリアに野生のコウノトリが来ている」という連絡がありました。このときは「きっとアオサギなどの大きい鳥と間違えているのだろう」と思っていました。

 しかし、ようすを見に行くと、「水辺の鳥」ケージの前にまさしくコウノトリがいました。一瞬「飼育個体が逃げた?!」と焦りましたが、視線を移すと当園のコウノトリはケージのなかにしっかりと見えました。そこでやっと、野生のコウノトリが飛来したことを認識できました。


飛来したコウノトリ

 このコウノトリは飼育個体に興味があったのか、ケージの前を何度も歩きながら往復し、植込み内で採餌しているような行動も観察されました。翌日も「水辺の自然」エリアで確認され、当園の上空を飛行しているようすが観察されましたが、午後には姿が見なくなりました。おそらく別の場所へ移動したのでしょう。


ケージの前を歩くコウノトリ

 現在、日本で繁殖した野生のコウノトリには、野生復帰事業の一環として、ほぼすべての個体に識別用の「足環」が装着されています。今回飛来したコウノトリにも足環が装着されていたので、それを基に個体情報を調べてみると、2021年4月に京都府綾部市内で孵化し、6月に巣立った若い個体であることが判明しました。

 野生復帰事業に関わる多くの人々の努力により、現在ニホンコウノトリは野生個体が増加し、自然繁殖の例も増えてきています。その一方で、安心して繁殖できる環境の整備などの課題もあります。

 「水辺の自然」エリアは、かつて自然豊かだった東京周辺の水辺を再現した展示です。今回そこに野生のコウノトリが降り立ってくれたことはとても光栄です。今後もコウノトリを飼育する園館として、普及啓発などに取り組み、コウノトリと人が共存できる未来のために貢献していけたらと思います。


コウノトリと大観覧車

〔葛西臨海水族園飼育展示係 内山幸〕

(2021年09月24日)



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