「カナダ西岸」水槽では、レッドターバンスネイル、ブルートップスネイルという2種の巻貝を展示しています。
横から見ると三角形に見える赤色っぽい殻をもつのがレッドターバンスネイル、全体的に丸みを帯びたソフトクリームのような形の灰色っぽい殻をもつのがブルートップスネイルです。殻の見比べもおもしろいですが、今回はどちらの種でも観察できる体のつくりや行動を紹介します。
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赤い矢印がレッドターバンスネイル、 青い矢印がブルートップスネイル | ガラスに張り付いたレッドターバンスネイル |
この水槽では、しばしばガラス面にこれらの巻貝が張り付いています。何もないように見えるガラス表面にも、巻貝のえさとなる藻類や小さな有機物がわずかに付着しているのでしょう。もしガラスの上を巻貝が移動していたら、しばらく観察してみてください。
まず、ガラスにべたっと張り付いているやわらかい部分が足です。よく見ると、左右交互に波打っています。同じ巻貝の仲間のカタツムリなどは足全体を波打たせて移動しますが、サザエなど多くの巻貝は足の中央に境があり、右・左・右・左……というように足の左右を交互に前へ出すので、まるで歩いているように見えます。
次は、頭の方を見てみましょう。2本の触角が見えます。触角の付け根には目があるのですが、外套膜や殻に隠れていて見にくいかもしれません。そして触角の少し手前で開いたり、閉じたりしている穴が口です。口の奥からせり出してきてガラス表面をなめているのは、歯舌という貝の歯。細かい歯がたくさん並んだ、おろし金でできたベルトのような構造になっていて、岩の表面についた藻類などを削り取って食べます。
絶え間ない足の動きや口の動きを見ていると、のんびりしているように見える巻貝たちも「けっこう忙しいのかな?」と思えてきます。巻貝に限らず、一見あまり動いていないように見える生き物も、さまざまな角度からじっくり観察してみると、意外な一面が発見できるかもしれませんね。
【動画】レッドターバンスネイルの移動と接餌
〔葛西臨海水族園教育普及係 堀田桃子〕
(2021年09月10日)