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ウィーディシードラゴンが無事育成し、初繁殖認定を受けました!
 └─2021/03/19
 ウィーディシードラゴンは、オーストラリア南部とタスマニア島の周辺に生息する全長45㎝以上にもなる大型のヨウジウオのなかまです。


 ヨウジウオ科の習性でもあるのですが、メスがオスの尾部に産卵します。繁殖期のオスの尾部の腹側にはスポンジ状の育児嚢が発達し、メスはそこに卵を産みつけます。そしてオスはそのまま仔魚が生まれるまでの間、卵を守り続けます。生息地では数が減っていて保護の対象となっており、世界のいくつもの水族館が保全・繁殖に取り組んでいる大変希少な魚でもあります。

 葛西臨海水族園では開園以来、メスが産卵はするものの、卵はオスに産みつけられることなく落下してしまい、孵化には至りませんでした。1993年には世界に先がけてオスが卵をもち、孵化も見られたのですが、育成には成功しませんでした。

 繁殖に大切なのはオスとメスの繁殖行動のタイミングを合わせることだとわかってきたため、個体がまだ小さなころから、飼育環境の水温や日長を現地に合わせて変化させ、性成熟をうながしました。また、集めた情報を参考にしてウィーディシードラゴン専用の水槽を用意して飼育を試みたところ、2019年に産卵しました。

 それまで映像でしか見たことがなかった、尾部に卵を付けたオスを実際に観察する機会に恵まれ、待望の孵化の瞬間も動画に記録することができました。この動画記録によって、ウィーディシードラゴンのオスが一晩じゅう体を激しく震わせ、仔魚が1尾ずつゆっくり孵化していくようすを実際に確認することができたのです。

 そして今回、孵化した仔魚を無事に育成することに成功しました。この功績により、このたび公益社団法人日本動物園水族館協会から「初繁殖認定証」が授与されました。初繁殖認定は、日本動物園水族館協会の加盟施設の中で最初に繁殖に成功したことを認定する制度です(従来の繁殖賞の後継制度にあたります)。

 葛西臨海水族園では今までもさまざまな生物の繁殖に取り組んできました。従来の繁殖賞を含め、これが53番目の認定です。今回の成果を励みにし、これからもさまざまな生物の繁殖に取り組んでいきたいと思います。

・関連動画
ウィーディシードラゴン誕生」(東京ズーネットBB)
海藻に擬態するウィーディシードラゴン」(東京ズーネットBB)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕

(2021年03月19日)



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