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珍魚カワビシャを展示するまで
 └─2021/02/26
 葛西臨海水族園の「世界の海」エリア「深海の生物4」の水槽でカワビシャを展示しました。カワビシャはおもに水深100~300mに生息している魚で、大きな背びれ、左右幅の小さい平べったい体、それに白黒の横縞模様が特徴的です。まとまって採れることがあまりなく、珍しい魚といえます。葛西臨海水族園では過去2004年以来、17年ぶりの展示となりました。今回はこのカワビシャの採集から展示デビューまでの道のりをご紹介します。

 今回のカワビシャ個体は、関東のやや深場(水深のある場所)の定置網船で採集しました。深場から上がってくる魚は、多くの場合減圧症を発症し、腹部や目が飛び出てしまいます。このカワビシャも海から船上に上がってきたときには腹部が膨れてひっくり返っていました。何とかたまったガスを抜いて態勢を安定させ、漁港のイケスに入れました。


イケスを泳ぐカワビシャ。背ビレが少し切れている

 こうして採集したカワビシャを活魚トラックで水族園へ運びました。しかし、水族園へ来たからといってすぐに展示デビューはできません。まずはバックヤードの水槽に運び、病気をもっていないか、えさをちゃんと食べるかなど、飼育スタッフによるチェックを受けます。病気ではないことがわかり、飼育環境に慣れ、えさも食べるようになって初めて展示デビューの準備が整います。

 今回のカワビシャは水族園にきて10日目にえさを食べ始めました。飼育スタッフによると、一度食べるとそれまでの10日間がウソのように食べるようになったとのことでした。少し切れていた背びれの状態もかなりよくなりました。


展示水槽を泳ぐカワビシャ。えさも食べ、背びれも治ってきた

 無事に展示デビューできたカワビシャは、今では水槽にも慣れ、大きなひれを広げてゆっくり泳いでいます。帆のように大きな特徴的な背びれを開いた姿はとても迫力があります。

 現在水族園は臨時休園中ですが、再開園のあかつきには、あらたに仲間入りしたカワビシャをぜひご覧ください。

〔葛西臨海水族園調査係 小川悠介〕

(2021年02月26日)



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