葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カリフォルニア沿岸」水槽では、カリフォルニア沿岸の砂地の環境を再現しています。この水槽では砂底にくらすウミエラのなかまのオレンジシーペンやウニのなかまのエキセントリックサンドダラー、ウミタナゴのなかまのシャイナーサーフパーチなどを展示しています。
今回はその中でもひときわ変わった姿を見せてくれるコケギンポのなかま、「サーカスティックフリンジヘッド」を紹介します。この魚は全長30cmほどで大きな頭が特徴的です。太平洋の北米大陸沿岸に分布し、貝殻の中や岩の隙間をすみかとし、身を隠します。獲物が近寄ってくると、いきおいよく飛び出し、大きな口でエビやカニなどの甲殻類や、小魚を捕食します。
すみかの周辺を縄張りとし、近寄ってくる同種や敵に対しては、大きな口をさらに大きく開いて威嚇します。とくに同種のオスどうしは閉じている口を「ガバッ」と目一杯大きく開き、お互い口の大きさを比べ、押し合いながらケンカします。
水槽を掃除しているときも、長いブラシや網を敵だと思ったのかかみついてくることがあるほど、縄張り意識の強い魚です。現在、この水槽では3尾のサーカスティックフリンジヘッドを飼育しています。3尾がそれぞれじょうずに距離を保って縄張りをもてる様にしているので、めったにケンカは起きません。そのためケンカのようすは写真に収めることがでなかったのですが、あくびをするように大きな口を開けている姿を撮影することができました!
いかがでしょうか? 想像した以上に口が大きく開いていると思いませんか? ふだんの姿から想像もつかないほど大きく口を開ける姿が、まるで映画の「エイリアン」のように見えることから「エイリアンフィッシュ」とも呼ばれています。
ご来園の際は、ぜひサーカスティックフリンジヘッドの口をじっくり観察してみてください。ご来園をお待ちしています。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 関啓汰〕
(2020年10月09日)