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珍しい、だけど身近なサメ──ヨシキリザメ
 └─2020/07/17

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「大洋の航海者マグロ」水槽では、2020年6月6日からメジロザメ科のヨシキリザメ2個体を展示しています。


 ヨシキリザメは世界中の熱帯・亜熱帯の外洋の表層でくらしています。長い頭部に流線型のスマートな体、大きく真っ黒な目が特徴的なサメです。最大で全長3.8メートルまで成長するこのサメは魚食性で、人を襲ったこともある危険なサメの一つと言われています。一方、その美しいインディゴブルーの体色から英名では Blue shark と呼ばれ、「世界でもっとも美しいサメ」とも形容されることがあります。水槽上から見ると、背部の色が強調されてより鮮やかに見え、その体色の青さに感動します。

 ヨシキリザメは広い外洋を素早く泳いでくらしているため、水槽での飼育は難しく、水族館ではなかなか見ることができませんが、じつは私たちの生活にとても身近なサメなのです。というのも、日本でもっとも漁獲量の多いサメであり、ちくわやはんぺんといった練り製品の材料やフカヒレとして利用され、私たちの食卓に並んでいるからです。あなたも知らないうちに、ヨシキリザメを食べているかもしれません。

水槽の上から見たヨシキリザメの背中側
水槽の底に餌をまくための手作りの道具

 水族館では珍しいヨシキリザメですが、現在はクロマグロが泳ぐ大水槽でいっしょに展示しています。ヨシキリザメは水槽では底にいることも多いため、手作りの道具で水槽の底にえさをまき、アジやイカなどを与えています。しかし、匂いがすると気になるのか、マグロの給餌時間になると、マグロが素早く泳ぐ中、落ちてきたえさに突っ込んで行き、拾って食べることもあります。見ているこちらはクロマグロとぶつからないかヒヤヒヤしますが、今のところはとくにお互い気にしていないようすです。

餌を食べる
水槽の底で餌を拾う

 葛西臨海水族園では、1999年に当時の世界最長飼育記録である246日を記録しました。さらなる長期飼育に向け、チーム一丸となり日々取り組んでいきます。世界でもっとも美しく、私たちの生活に身近なサメの泳ぐ姿をぜひご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕

(2020年07月17日)



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