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臨時休園中のミナミイワトビペンギンの繁殖
 └─2020/07/10

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2020年2月29日から6月22日まで臨時休園を続けていた葛西臨海水族園では、職員の感染拡大を防ぐために2チーム制で勤務し、チームはお互い接触しないようにしていました。今までに経験のない状況であり、職員どうしで直接コミュニケーションがとれない環境に戸惑いはありましたが、飼育している生き物は待ってはくれません。それは、今年(2020年)の4月にペンギンや海鳥など鳥類の飼育担当として異動してきたばかりの私に対しても例外ではありませんでした。

 人間にとっての非日常が続く中でも、ミナミイワトビペンギンは例年どおり3月から繁殖期を迎えました。巣作り、ペア形成、産卵などを経て、5月下旬に無事2羽のひなが孵化しました。子育ては親に任せますが、飼育係はひなの健康状態を確認するため、毎日体重を測定する必要があります。

 しかし、ペンギンの飼育経験がなかった私にとって、親からひなを取り上げることは簡単ではありませんでした。繁殖期の親は非常に攻撃的で、近づくだけで怒って噛みついてきます。無理に手を出すと、親が誤ってひなを傷つけてしまう危険性もあるため、木の板を親のお腹の下に素早く差し入れ、攻撃を板で遮りながらひなを取り上げます。親は慣れない私を容赦なく攻撃してきましたが、ひなの健康のため、お互い譲れない戦いを繰り広げ、毎日なんとか体重測定をしていました。

 ひなの体重を見ていると、1羽目は順調に成長していきましたが、2羽目が孵化して3日経っても体重が増えませんでした。ようすを観察していると、親はえさを吐き戻してひなに与えようとしますが、口からは何も出ておらず、給餌できていませんでした。このままだとひなが死んでしまうため、ペンギン用に調合したミルクを飼育係が与えながら、産卵後孵化しなかった別のペアに預けてようすを見ました。この方法は大成功で、新しい親からしっかりとえさをもらえるようになった2羽目のひなも、無事に成長し始めました。

 残念ながらひなのいる飼育室は直接ご覧いただけませんが、「ペンギンの生態」エリアの階段下にあるモニターを通して観察することができます。ひなはふわふわした綿羽に覆われ、眉毛のような黄色い飾り羽がまだないのが特徴です。ご来園の際はぜひモニターで、親と飼育係の努力の結晶であるひなを探してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 内山幸〕

(2020年07月10日)



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