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“目の前の渚”をのぞいてみると…
 └─2020/03/27

 葛西臨海水族園は、はるか遠い海の生き物を気軽に見られる場所であるだけでなく、身近な生き物をフィールドで実際に観察するための「練習」ができる場所でもあります。そこで今回は、展示を見た後で、目の前の東京湾にいる生き物を見に行きたくなるコーナーをご紹介します。


「目の前の渚」コーナー

 「東京の海」エリア2階にある「目の前の渚」コーナー。ここに面した大きな窓からは、目の前に広がる東京湾がよく見えます。その名のとおりこのコーナーでは、水族園の目の前にある渚で見られるさまざまな生き物を展示しています。

 水族園が位置する場所は人の手で整備された埋立地です。しかし造成から30年以上が経ち、意外にも干潟やアシ原、草地や林などさまざまな環境が広がり、多様な生き物がくらしているのです。ここに掲示している「水族園周辺のカニマップ!」を見れば、水族園周辺に9種ものカニがすんでいることや、それぞれの種の好む環境がわかりますよ。

 水族園では、目の前にある「西なぎさ」でシーズンごとに地曳網調査をおこなっています。「目の前の渚」コーナーにある「葛西の海2」水槽では、調査時に採集された生き物の一部を展示しています。春によく採集されるのは、エドハゼやイシガレイ、ボラなどの幼魚です。遠浅で大きな生き物が入ってこない「西なぎさ」は、小さな生き物たちのすみかにぴったりなのです。

西なぎさでの地曳網調査
ボラの幼魚

 地曳網調査は許可を得て実施していますが、生き物観察は誰でも楽しむことができます。波打ち際や、潮が引いた後にできる潮だまりをのぞくと、ボラの幼魚が小さな群れで泳いでいたり、マハゼが目にもとまらぬ速さで逃げたりするようすが見られるかもしれません。

 春は昼間に潮が大きく引くようになり、生き物も活発に動き回るので、水族園の周辺で生き物を観察するにはベストシーズンです。とくに大潮の日の干潮の時間帯には、たくさんの生き物と出会うチャンスが増えるでしょう。水族園の「目の前の渚」コーナーで生き物の予習をしてから、実際の“目の前の渚”にでかけてみませんか。

◎関連リンク
 葛西臨海水族園が偶数月に発行する情報誌「SEA LIFE NEWS」には「なぎさNEWS」が掲載されています。西なぎさの最近のようすをお伝えしています。こちらのページからバックナンバーも含めてご覧になれます。

〔葛西臨海水族園教育普及係 大河原陽子〕

(2020年03月27日)


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