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アカシマシラヒゲエビ、展示デビュー
 └─ 2019/11/22

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「インド洋II」水槽ではオニダルマオコゼとトラウツボを展示しています。この水槽で今年(2019年)8月、アカシマシラヒゲエビの展示を始めました。


アカシマシラヒゲエビ

 アカシマシラヒゲエビは岩礁やサンゴ礁に生息している体長6cmほどの小さなエビです。アカシマシラヒゲエビを観察していたときに撮影した動画をご紹介します。


【動画】トラウツボをクリーニングするアカシマシラヒゲエビ

 いっしょに映っているのがトラウツボですが、アカシマシラヒゲエビがトラウツボに乗っているのがわかりますか? 「そんなところにいたら食べられてしまうのでは……?」と心配になりますが、これはよく見かける光景です。

 アカシマシラヒゲエビは、他の生き物の体表についた寄生虫や食べた物の残りかすを食べてくれる掃除屋の役割をするのです。このような行動のことを「クリーニング」といいますが、クリーニングする生き物としての目印があるようで、めったに食べられることはありません。アカシマシラヒゲエビの場合、長い触角とその動きが「クリーニングしますよ」とアピールする目印なのではないかと言われています。

 とはいうものの、間違えて食べられてしまうのではないかという心配もじつはありました。特にオニダルマオコゼが心配でした。岩にそっくりな姿をしているこの魚は、だまされて近づいてきた生き物を食べてしまうのです。そこで、オニダルマオコゼにはいつもよりえさを多めに与えて満腹にしておき、アカシマシラヒゲエビが隠れられるような岩をたくさん水槽に入れて万全の体制で展示を開始しました。

 水槽に入れてみると、トラウツボは少し戸惑うようなしぐさを見せながら、アカシマシラヒゲエビを受け入れているようすでした。オニダルマオコゼをじょうずに避け、たくさん入れた擬岩をうまく使っている姿も確認できました。

 水槽に入れて3ヵ月。アカシマシラヒゲエビが積極的すぎて、トラウツボがいやがる姿も確認されました。また、オニダルマオコゼを気にせず、水槽を自由に動き回る姿も見られます。ぜひ、3種の生き物の関係性にも注目して観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 佐藤真心〕

(2019年11月22日)


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