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よく似たフグの見分け方
 └─2019/10/11

 葛西臨海水族園には、潮の満ち引きと波の動きを再現した「渚の生物」の水槽があり、日本近海で見られる生き物たちを展示しています。

 なかでもフグのなかまは、アクリル面近くまで寄ってきます。「わー、フグだー」と通り過ぎているあなた! ちょっとお待ちください。よく見るとそのフグたち、微妙に模様や色が違っていませんか?

 じつは「渚の生物」水槽にはよく似た4種のフグが展示されているのです。姿は似ていてもそれぞれ特徴があります。今回は職員も迷う、よく似たフグの見分け方と特徴をご紹介します。


クサフグ

 クサフグは全長20センチほどのフグで、群れを作って産卵します。海の浅場に多く生息し、川の淡水と海水の混ざる汽水域や、淡水域にも現れることがあります。背中は暗い緑色で、小さな白点が散っており、胸びれの斜め上と背びれの根本にある黒い斑紋が特徴的です。また、砂に潜る習性があり、水槽では比較的浅い部分で見られます。


コモンフグ

 コモンフグは全長25センチほどで、クサフグより少し大きくなります。沿岸の浅い部分に多く生息し、クサフグとともに汽水でも見ることができます。背中の地の色は褐色で、背中からお腹側にかけて大きくなる白点模様に覆われています。また目から尾びれの前にかけての背中に6〜7本の薄い黒い帯があります。


ショウサイフグ

 ショウサイフグ全長35センチほど。コモンフグとよく似ていますが、背中の模様をよく見ると違いがあります。コモンフグが褐色地に白点で覆われるのに対して、ショウサイフグの背中の模様は褐色地に白い網目模様になっています。生息地もコモンフグと比べ深くなります。


ヒガンフグ

 全長40センチほどになるヒガンフグは、紹介した4種の中ではもっともも大きくなる種類です。日本沿岸に広く分布していて、岩場や砂地などさまざまな場所で見られます。背中の色は茶褐色で多数の黒点に覆われており、また虹彩(瞳孔の周辺部)が赤いのも特徴です
水槽ではコモンフグとともに深い部分でゆったり泳いでいる姿をよく見かけます。

 「渚の水槽」で見られる、よく似たフグ4種をご紹介しました。一見同じに見えても、よく観察すると違う種かもしれません。

 なお今回紹介した4種も筋肉や内臓に強いフグ毒をもっています。フグ毒にあたってしまうと体に麻痺がおこり、呼吸が止まり死にいたります。現在解毒薬などは開発されておらず、非常に危険です。毒のある部分は、種や生息地によって異なるため、自分で採ったものを自己判断で食べないよう注意しましょう。

〔葛西臨海水族園調査係 小川悠介〕

(2019年10月11日)


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