葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「浮遊生物」コーナーで、10年ぶりにオワンクラゲを展示しています。オワンクラゲはインドから太平洋、大西洋と幅広く分布し、日本沿岸では春から夏にかけて見られます。傘の形と大きさがまるでお椀のように見えることが名前の由来です。傘には栄養を運ぶための放射管がたくさんあり、100本を超える触手をもっています。
2008年に下村脩博士がノーベル賞を受賞された際に光るクラゲとして話題になったので、おぼえている方もいるかもしれません。今回は、「光る」だけではないオワンクラゲの特徴をご紹介します。
まずは映像をご覧ください。傘の中心あたりにある房のような部分が大きく開き、また閉じるようすがわかるでしょうか。これが口です。オワンクラゲの口はほかのクラゲと比べて大きく開き、同種のクラゲを丸のみにしたり、小魚を食べたりすることができます。
【動画】オワンクラゲの摂餌行動
あるとき、いつもは傘の中心にあるはずの口が端の方に寄っていることに気がつきました。そこで、えさを与えた後しばらく観察していると、きれいに中央に向かって口を閉じるときと、端にかたよった状態で口を閉じるときがあることがわかりました。
なぜこのような動きをするのかはわかりませんが、えさをつかまえて口に運ぶまでの距離が長いと端にかたよることが多いように思えます。口がどこにあるのか観察することが、私の密かな楽しみになっています。
ぜひオワンクラゲの口に注目してゆっくり観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕
(2019年07月19日)