日中はだんだんと暖かくなり、外に遊びに出かけたくなる季節になってきました。春の大潮は1年の中で日中に潮がいちばん引く時なので磯遊びには最適です。磯遊びに出かける前に、葛西臨海水族園「渚の生物」エリアの「しおだまり」水槽で磯の生き物の予習をしてはいかがでしょう?
「しおだまり」水槽では関東近辺の磯の潮だまりにいるさまざまな生き物たちを観察し、触ることもできます。潮だまりは潮が引いたときに岩のくぼみなどに海水が取り残されてできる小さな水たまりで、一時的に海から切り離されるため、水温や塩分が大きく変化します。
そんなきびしい環境でもさまざまな生き物たちが適応してくらしています。カサガイのなかまもそのひとつです。潮が引いた夏の熱い日差しの中で、しっかりと殻を閉じて動かないもの、逆に体を持ち上げて風を通し体温を下げるもの、また粘液で体を保護したり、たくさん集まったりして湿り気を保つものなど、種によってさまざまな方法で潮だまりや磯の環境に適応してくらしています。
マツバガイ。海水が満ちてくるまで、湿り気のある場所でじっとしています
ウニやヒトデも潮だまりではよく見かける生き物です。見たことがある方は多いと思いますが、触ってみたことはありますか? 「しおだまり」水槽では一部の生き物に触ることもできますので、実際に触れてその感触を確かめ、いろいろな方向から間近に見て、どこが口や足なのか観察してみてください。
プラケースなら裏側も観察できます
また、潮だまりには触ってはいけない毒をもった生物もいます。「ひげ」があり可愛らしい姿をしているゴンズイですが、胸びれと背びれには毒のあるトゲをもっていますので触らないようにしましょう。他にも鋭い毒とげを持つウニのなかまガンガゼも刺されると大変です。触ってはいけない生き物もしっかり確認しておきましょう。
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ゴンズイ。たくさん集まって「ゴンズイ玉」を つくることもあります | ガンガゼ。鋭いトゲは少し触れただけで 折れて刺さるので要注意 |
「しおだまり」水槽で展示している生き物は潮だまりで見られる生き物のほんの一部。海にはもっとたくさんの生き物がいます。水族園を訪れて興味をもった方は今年の大型連休にぜひ磯遊びに出かけてみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 遠藤周太〕
(2019年04月12日)