2018年10月17日、葛西臨海水族園の「東京の海」エリアにある「浮遊生物」コーナーでタコクラゲの展示を始めました。葛西臨海水族園では以前、短期間のトピック展示をおこなったことはありますが、常設の展示は今回が初めてです。
タコクラゲは夏から秋にかけて南日本各地の太平洋岸に出現します。丸い傘と8本の口腕、さらに口腕の先に伸びた付属器が特徴的で、その姿が「タコ」の由来です。茶色い体に白い水玉模様がかわいいと人気のあるクラゲですが、じつはその体にいろいろな秘密があるのです。
秘密① 本当は体が青白い!
茶色く見える体はクラゲ本来の色ではなく、共生している褐虫藻の色です。タコクラゲは自分でえさをとるだけでなく、褐虫藻が光合成でつくった栄養をもらって生きています。褐虫藻は成長するにつれて数が増えていくため、タコクラゲが生まれてからまだ小さなクラゲの頃は青白い体をしています。
秘密② 水玉はただの模様じゃない!
水玉に見える白い部分は、軟骨状組織と呼ばれ、「骨」のような役目を持っています。大きな丸い傘を支え、丈夫にする役割のため、傘が成長するに従って増えていきます。
秘密③ 明るい方向がわかる!
タコクラゲに共生している褐虫藻は光合成によって栄養をつくるので光が必要です。そのためタコクラゲは光が当たる明るい方に泳いでいく性質があります。
海でタコクラゲを捕まえようとしたところ、私の影がある場所でタコクラゲがくるっと向きを変えて離れて行ったことがあります。本当に明暗がわかるのだな、と実感しました。
タコクラゲの秘密をいくつか紹介しましたが、これ以外にも、展示している他のクラゲと違うところがたくさんあります。ぜひじっくり観察して、秘密を探してみてください!
〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕
(2018年11月2日)