葛西臨海水族園「東京の海」エリア2階の「アマモ場の小さな生き物」水槽でオオワレカラの展示を始めました。オオワレカラは、エビやカニと同じ甲殻類のなかまで、北海道から九州まで、海藻が繁茂する内湾に生息しています。昆虫のナナフシのような細長い姿が魅力的ですが、魅力はそこだけではありません。今回はオオワレカラの魅力的な特徴2つを紹介します。
アマモに張り付いているオオワレカラ
特徴1:えさの食べ方
ふだんオオワレカラはアマモに張り付いて細かく動いていますが、えさを食べるときはとても激しく動きます。えさの匂いを感じ取ると前半身を起こし、前後に体を揺らします。よく見ると、体の前方についた腕のような「顎脚」(がっきゃく)を大きく広げてえさを捕らえようとしています。いつもは目立たないようにアマモに隠れている姿から想像できない大胆なえさの食べ方です。
体を起こした状態のオオワレカラ
特徴2:抱える・抱えられる
体から毛が生えたようなオオワレカラを見かけることがあります。じつは毛のよう見えるのは、すべてオオワレカラの子どもです。オオワレカラのメスの体には「育房」という器官があり、その中で卵が孵化します。孵化した子どもたちは母親の体に抱えられ、脱皮を繰り返しながら成長します。そしてある程度大きくなると母親から離れて生活します。じっくり観察すると、小さなオオワレカラが一生懸命動いているのがわかります。
また、メスがオスに抱えられることもあります。メスは脱皮直後に交尾ができるようになりますが、それまでオスがメスを離さないよう独占します。この行動は「交尾前ガード」と呼ばれています。
水槽内ではオオワレカラを小さなプラスチックケースに入れ、間近で観察できるようにしてあります。ぜひ水族園でオオワレカラの姿をご覧ください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 佐藤真心〕
(2018年09月21日)