葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「オーストラリア南部」水槽の底に注目すると、ずんぐりした姿の魚がいます。胸びれが扇のように広がり、頭は小さくて後頭部がくびれているので、「首」があるように見えます。奇妙な体をしたこの魚は「ゴブリンフィッシュ」です。
ゴブリンフィッシュはオーストラリア南部沿岸の岩礁などに生息しています。夜行性なので日中は岩の隙間などでじっとしています。私が初めてゴブリンフィッシュを見たときは、首があるような姿から魚だと思えず、鳥のようにみえて衝撃的でした。あとでカサゴのなかまだとわかりましたが、この首のような部分を何に利用するのか、調べてもわかりませんでした。
体は白や赤茶、黒などの色がまだらにあり、岩と似ているので気づかずに手を置いて触ってしまいそうになります。しかし、ひれには棘があるので気をつけなければなりません。
最近、展示水槽にいる2匹のゴブリンフィッシュの相性がいいのか、たびたび水槽内で産卵しています。孵化した仔魚はとても小さいので育成がむずかしく、まだ成功していません。水族園生まれのゴブリンフィッシュを展示できるよう、試行錯誤しながら育てています。
水槽の底に注目してゴブリンフィッシュを探してみてください。みなさんにはどんな生き物に見えるでしょうか?
〔葛西臨海水族園飼育展示係 柳下悠〕
(2018年09月14日)