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直径2メートルを超えるか? 大きく育ったオニバス
 └─2018/09/14

 葛西臨海水族園では2018年7月26日から特設展示「水辺に生きる草」を水辺の自然エリアで開催中です(2019年3月31日まで)。「流れ」のいちばん大きな淵の部分で、7月からオニバスを展示しています。オニバスはスイレン科に属する一年草(一年で種をつけて枯れてしまう草)で、大きな丸い葉を水面に広げる浮葉植物です。日本では北海道を除き、本州・四国・九州に分布しており、ため池や河川に生育します。かつては関東地方でも東京都や千葉県、埼玉県など複数個所で見られましたが、ため池の埋め立てや汚染、外来生物のアメリカザリガニによる食害などで激減し、都内では、葛飾区の水元公園が唯一の自生地となってしまいました。

2018年7月中旬、オニバスを植えたばかりの頃
8月末頃

 特設展の開催に合わせて水元公園サービスセンターから保存していた種を譲り受け、展示にチャレンジすることにしました。まずは冷蔵されていた種を常温に戻して発芽させ、発芽した種を予備の水槽で大切に育てました。その後、手のひらサイズの葉が数枚出てきた7月中旬、「流れ」の淵に移植し展示を始めました。


オニバスの花

 展示開始直後は葉も小さく、オニバスとは思えない弱々しい小さな姿でした。アメリカザリガニによる葉の食害が心配されたため、葉のまわりにカバーをかけてしばらくようすを見ていましたが、環境がよかったためか順調に生育し、移植後1か月で葉の大きさが直径1メートルを超えるほどに成長しました。その後、紫色のきれいな花も咲き、現在見ごろを迎えています。8月27日に測ると、葉の大きさは直径175センチに成長していました。

 一年草のオニバスは9月後半に徐々に枯れ始め、11月頃には完全になくなってしまいます。実った種が翌年すべて発芽することはなく、種の状態で数十年生き続けることができます。絶滅が疑われた後、数年経って突然発芽することも珍しくないようです。東京に現在も自生している巨大植物オニバス。葛西臨海水族園にぜひ見に来てください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

(2018年09月14日)


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