葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「伊豆七島の海1」水槽では、ウミシダのなかまを展示しています。ウミシダは名前のとおり、植物の「シダ」のような姿をしており、一見海藻にも見えます。しかし、これでもじつは動物で、ウニやナマコ、ヒトデと同じ棘皮動物なのです。
| | |
ニッポンウミシダ | シモフリウミシダ |
ウミシダはシダの葉のような多数の腕を使って水中を漂う小さなプランクトンなどを捕らえて食べます。ふだんはじっとしていて動きませんが、腕を使って移動することができます。中には腕を翼のように動かして泳ぐ種もいます。そして、「巻き枝」と呼ばれる植物の根のような部位を足のように動かし、岩などにしがみついて強い水流に流されないようにすることもできます。
現在水槽ではニッポンウミシダとシモフリウミシダがよく観察できます。ニッポンウミシダはさまざまな色のバリエーションがありますが、多くはオレンジと黒色の腕に先端が黄色といったカラフルな色をしています。水中を漂うエサを捕えるため、潮の流れがよい場所を好み、水槽でも水流がよくあたる岩の隙間から腕を伸ばしている姿がよく見られます。
シモフリウミシダは斑模様がある小型のウミシダで、潮の流れがよく、えさを捕まえやすい場所を求めて、腕を使って泳いで移動することもあります。刺胞動物のヤギのなかまの先端にしがみついていることも多く、水槽内でもそのようすを観察することができます。ヤギのなかまの先端で腕を広げているシモフリウミシダの姿は、水中に咲いた花のようにも見えます。
「伊豆七島の海1」水槽は色鮮やかなヤギやトサカのなかま、大きな群れを作るキンギョハナダイなど、注目して頂きたい生き物がたくさんいますが、ぜひウミシダにも注目してください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 遠藤周太〕
(2018年08月24日)