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出てこい、オレンジシーペン!
 └─2018/07/20

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カナダ西岸」の水槽では、オレンジシーペンというウミエラのなかまを展示しています。ウミエラはクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物です。きれいに砂の上に姿を現しているときは魚のエラのような形をしており、エラのような部分のひだに「ポリプ」と呼ばれる小さなイソギンチャクのようなものがびっしりと並んでいます。ポリプには「刺胞」と呼ばれる器官がついていて、これでプランクトンなどを捕まえて食べます。

 明るいと砂の中に潜って隠れてしまう夜行性の種類が多いウミエラですが、このオレンジシーペンは昼間でも姿を現します。しかし、展示水槽では日中、縮んで砂の中に潜ってしまい、夕方になってようやく姿を現すこともありました。これではオレンジシーペンのきれいな姿を見てもらえないので、どうにかして昼間もその姿を現してくれないものかと考えていました。


縮んで砂の中に隠れているオレンジシーペン

 夕方に出てくるということは、昼間に与えるえさの匂いを感じた後、しばらくしてから出てくるのかもしれません。そこで、無脊椎動物用水族園特製ジュース「ねりミンチ」の給餌を午前の遅い時間では無く、朝9時前におこなうことにしました。また、それまでは大きなスポイトを使ってピンポイントでオレンジシーペンに吹きかけていましたが、今回は凍らせたネリミンチを少しずつ溶かしながら入れ、水槽全体にえさの匂いが広がるようにしました。

 最初はうまくいきませんでしたが、しばらく続けると、オレンジシーペンの姿を現し始める時間がしだいに早くなり、最近では高い確率で午前中から姿を見ることができるようになりました。


きれいに姿を現しているオレンジシーペン

 オレンジシーペンを見られる時間は増えましたが、朝はまだ砂の中に潜ったままのときがあります。オレンジシーペンが立ち上がったきれいな姿をいつでも見られるよう、さらに工夫をこらしていきます。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2018年07月20日)


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