「クラゲ」と聞くとどのような姿をイメージしますか? ゆらゆら、ふわふわと波に揺られているようす? それとも、透明な体や触手を長く伸ばしているところでしょうか? 多くの方は、水中を漂う透明な姿を思い浮かべるのではないかと思います。しかし今回ご紹介するクラゲは、そうしたイメージとはちょっと違います!
それは「ハナガサクラゲ」です。ハナガサクラゲは春から夏にかけて、本州中部から沖縄で見られる日本固有種です。

1つ目の特徴は、クラゲなのにふわふわと水中を漂うことがほとんどないことです。昼間は海草などに触手をくっつけてじっとしていることが多く、なかなか動きません。
2つ目の特徴は、とてもカラフルな体です。傘の上や縁についている触手は赤紫色や緑色、黒色と色鮮やかできれいです。
3つ目の特徴は、魚を捕食することです。東京湾などでもよく見られるミズクラゲは小さなプランクトンを食べています。しかしハナガサクラゲは、触手の刺胞に強い毒をもち、この触手で体の近くを泳ぐ小魚を捕え、口まで運んで食べています。
じつは水族園ではこれまでにもハナガサクラゲの展示をしてきましたが、傘が崩れてしまったり、えさを食べなくなってしまったり、毎回1か月未満の短期展示でした。
しかし今回、水槽の底に砂をしいて岩を配置し、海草を植えて、クラゲの体が波に揺られないようにしました。また、えさの頻度や与え方、種類にも工夫をしています。その結果、2か月を超えた今もよい状態で展示を継続しています。
ぜひ水族園で、他のクラゲとはちょっと違うハナガサクラゲをじっくり観察してみてください。また今後、ハナガサクラゲの稚クラゲを見ていただけるように工夫を重ねていきます。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕
(2018年07月13日)