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地震避難訓練「お・さ・か・な」大作戦2018、ご協力ありがとうございました
 └─2018/07/13

 こちらでお伝えしたとおり、葛西臨海水族園では、首都圏直下型地震を想定した避難訓練を2018年7月7日(土)に実施ました。大地震発生時に迅速で効果的な避難誘導をおこなうための訓練です。一般の方にも参加を呼びかけ、多数の方々にご協力いただきました。

 当日はいつもどおり午後5時に閉園。午後6時から訓練参加者の方々に館内にお入りいただき、まずは自由に生物の見学をしていただきました。そこに地震が発生するという想定のもと、午後6時50分から避難誘導訓練を開始し、館内放送で地震情報をお伝えするとともに、係員がみなさんを当日の一時集合場所である「水の広場」へ誘導しました。避難誘導訓練終了後は、ふたたび自由見学をしていただきました。

 ・ご協力いただいた訓練参加者数 1,540名(避難誘導対応職員42名)
 ・想定地震および想定震度    首都圏直下型地震・震度6強
 ・全参加者本館脱出完了時間   想定発災後約10分
 ・一時集合場所への避難完了時間 想定発災後約15分

 訓練参加者のみなさんとご協力いただいた関係機関の方々に、心からお礼申し上げます。

①想定発災直前。葛西警察署と葛西消防署の方に訓練立会いのご協力をお願いしました②午後6時50分想定発災直後。園内放送や職員の声がけにより、参加者の方は低い姿勢で身を守っています
③館内避難中
④館内から館外へ
⑤一時集合場所までの避難
(水辺の自然)
⑥一時集合場所到着(水の広場)、訓練終了

葛西警察署講評

 このたび首都直下型地震が発生したという想定で、1,500名を公募して避難訓練をおこないました。訓練お疲れ様でした。葛西臨海水族園での避難誘導訓練は昨年に続き2回目ですが、公募方式によって昨年よりも多くの想定避難者が館内職員等の的確な指示・誘導で、怪我人もなく約15分で無事避難することができ、当初の目的を達成することができたと思います。
 わが国は地震列島と言われており、訓練終了後、千葉県東方沖を震源地とするマグニチュード6.0の地震が起きるなど、関東地方の直下型地震に加え、東海地震や南海地震の発生も危惧されています。今回の訓練では、参加者を安全に建物からの避難するために、作成済みのマニュアルどおりに職員が動いたことと思います。
 訓練を通じて気づいた点を挙げたいと思います。これまで発生してきた地震には必ずと言っていいほどライフラインの破壊が見られます。訓練では、室内の電源が非常電源に変わっていなかったようでしたが、地震の揺れに加えて万一非常電源で室内が暗くなった場合、お客さんがパニックとなり、今回のようにスムーズに行くか疑問が残るところです。
 この点から、館内で誘導する方が停止灯を活用していたことやトラメガで避難者を誘導するなどは良かったと思いますが、先ほど申し上げたとおり室内が暗くなったときのために懐中電灯などを活用することと、マイク機能付きのトラメガなどで避難者を誘導した方がより効果的であったのではないかと思います。また、お客さんを安全に早く建物から避難させるため、地震後にガラス屋根のあるエスカレーター前で非常口に誘導していたことは、安全対策として良かったと思います。
 地震発生後は、まず自分の身は自分で守ること(自助)、 次にご近所の方が負傷したなどの状況があればお互いに助け合い(共助)、そして警察・消防・自衛隊などの救助を待つ(公助)ことが必要です。地震から身を守ったら、次は避難場所で救助を待つことになりますが、警察・消防は必ず救助に向かいます。救助が来るまで安全に避難場所まで避難してください。また今回のように集客施設での被災であれば、事前に避難口はどうなっているか等を確認しておくことも大切だと思います。地震は将来起こるといわれています。今回の訓練経験を活かし、地震に遭遇した場合でも落ち着いて行動するようお願いします。

葛西消防署講評

 直下型地震を想定した大規模な避難訓練「お・さ・か・な」大作戦2018実施にあたり、計画段階からの連絡調整等にあたった園長をはじめとした関係者の方々、また参加された皆様におかれましては大変お疲れ様でした。一般公募1,500人を超える方が参加の中、多くのお子さんを含む来園者を手際よく、落ち着かせて避難誘導することは容易なことではありません。特に初めて水族園を訪れた人にとっては、施設職員の的確な避難誘導や指示が「命綱」です。
 ここ最近でも国内での地震は多発傾向にあり、東京においても誰もが経験したことのない大地震に備えるためには、今日のような訓練を繰り返し、本番に活かすしかありません。今後はたとえば「万一のリスクを踏まえ、初動の身体防護措置を水槽やガラス壁などから離れた位置で行うようアナウンスすること」や「けが人が発生してしまった場合についての具体的な対応要領」等を検証してみるなど、考えられる課題をさらに精査していくことで『自衛消防力』の一層の充実強化につながるものと思います。
 葛西消防署といたしましても、こうした訓練の積み重ねが有事に活かせるようバックアップしていく所存です。引き続き、関係各位の前向きな取り組みを期待し、講評とさせていただきます。

葛西臨海水族園長講評

 7月7日、公募型避難訓練「お・さ・か・な」大作戦2018を実施しました。参加された皆様、ありがとうございました。ご協力に感謝いたします。
 訓練参加者は1,500名を上回りました。これだけの来園者が一時滞在しているという状況は、1日の入園者数で見ると8,000人から10,000人の規模です。これだけの人々を訓練開始から10分で館外に誘導し、15分で避難場所に移動できたことは、訓練に備えた態勢がスムーズに実現できた結果だと思います。
 今回の訓練で一番混雑が予想されたのは、「世界の海」や「ペンギン広場」「東京の海」からの避難路です。私はその避難路の途中、サービスヤードへ抜ける合流点で訓練に立ち合いました。車椅子、乳母車、子ども連れの方々もいらっしゃいましたが、混乱することなく、8分ほどで避難が完了しました。
 職員の声がけもよく、誘導灯の使い方も適切でした。また、トイレ内の状況確認もしっかりとおこなわれていました。ただ残念だったのは、職員が現場に集まってくるにつれ、限られた職員だけが声を出していたことです。最後まで自分の役割を考えて来園者誘導を続けるべきでした。
 また、職員は日頃から常に非常時のことを考えて仕事にあたるよう心がけてください。訓練当日の天候は良かったのですが、もし雨だったら、台風が来ていたら、雪が降っていたらどうするか? もしここで水槽が割れて水が噴出したら、この扉が開かなくなったら、倒木で通れなくなったらどう動くか、常に想像を働かせ、訓練へのシミュレーションを日頃から心がけるようにお願いしたいと思います。
 最後になりますが、ご協力いただいた葛西警察署、葛西消防署はじめ関係機関の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

(2018年07月13日)


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