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「かわいい」だけじゃないイシガキフグ
 └─2018/06/15

 葛西臨海水族園「東京の海」エリア「伊豆七島の海2」の水槽では、イシガキフグを展示しています。

 最初に目に入る大きな体と愛嬌のある見た目から、お客さんから「かわいい」と大人気です。そんなイシガキフグのじつは「すごい」ところをご紹介します。

 まずは「大きな口」です。いつも少し開いていて、ぼうっとしているように見える口。その中には、外からは見えませんが板のような形をした頑丈な歯が上下に生えています。この歯はエビやカニなどの甲殻類や貝類を噛み砕いて食べることができるほど強力です。水槽内の酸素量を維持するために置いてある石のように硬いエアーストーンを噛み砕いてしまったこともあるくらいです。


 次に「ひれ」です。イシガキフグは丸いひれをゆらゆらと揺らして泳ぎます。その姿がかわいいと言われるポイントだと思いますが、ひれの使い方に特徴があります。
 イシガキフグは泳ぐときに尾びれ、しりびれ、背びれを使います。ほかの魚は、しりびれや背びれをあまり使わないのですが、イシガキフグはそれらのひれを左右に動かして泳ぎます。動かし方にも特徴があり、すべてのひれを同じ方向に振って、前に進む力を得ています。

 方向転換のときは胸びれを使います。前後自由に動かすことができるので、他の魚ではなかなかできない後進をすることもできます。
 体が大きく、他の魚より動きの遅いイシガキフグにはピンセットで直接口元にえさを差し出していますが、その際も胸びれを器用に動かし、前後に動きながら体の位置を調節します。

 一見「かわいい」ポイントの多いイシガキフグですが、よく見ると「すごい」所がたくさんある魚です。じっくり観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 佐藤真心〕

(2018年06月15日)


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