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サンゴを大きくするために──こまめな調整と管理
 └─2018/04/06

 サンゴの大群落で有名なオーストラリアのグレートバリアリーフ。葛西臨海水族園には、この海域をテーマにした水槽があり、たくさんのサンゴを展示しています。サンゴはテーブル状や枝状のもの、ブロッコリーのような形のものなど、まるで岩や植物のようですが、じつはれっきとした動物です。

ヤナギカタトサカ
ヤナギカタトサカのポリプ

 水槽のサンゴをよく見ると、「ポリプ」と呼ばれる小さいイソギンチャクのようなものが密集しているのがわかります。サンゴのなかまの多くは、このポリプがどんどん分裂して大きな塊(群体)となったものです。

 サンゴが成長するには栄養が必要です。ポリプの触手でプランクトンを捕らえることもできますが、多くのサンゴには褐虫藻という藻類が共生しており、褐虫藻が光合成で作った栄養を吸収しています。

 サンゴを健康に飼育するためには、適した光の量や質、水の流れ、水質を整える必要があります。たとえば、成長に必要なカルシウムを水槽水に添加するための特別な装置で水質の調整をしています。また、サンゴは岩などにくっついているため、自ら水槽内の好きなところに移動することはできません。よい環境で飼育できるかどうかは、完全に飼育係の手にかかっているのです。

 しっかりと観察をして、こまめに環境を調整することで、水槽内のサンゴが無事に大きく成長していることが実感できます。

 しかし、成長しているからといって安心はできません。サンゴどうしが近づきすぎると、お互いに成長を止めてしまったり、ときには相手を攻撃したりすることもあります。そのため、成長し大きくなったサンゴが周囲のサンゴに触れそうになると、位置の変更やトリミングをします。

成長しているスギノキミドリイシ 左:2017年7月、右:2018年3月

 2月頭、ヤナギカタトサカがスギノキミドリイシに触れてしまいそうだったため、カッターナイフで一部を取り除きました。切った部分を裏側の水槽に入れたところ、その直後は小さくしぼんでいましたが、今では断面が岩にくっつき始め、ポリプもしっかりと開いています。そのようすに生き物の逞しさを感じました。

 サンゴは水槽の景色の一部に見られることも多いのですが、「生き物」であることもぜひ感じ取ってください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 市川啓介〕

(2018年04月05日)


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