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オーストラリアで採集された「未成魚」たち
 └─2018/03/16

 2017年10月、葛西臨海水族園にとって初めての採集場所となるオーストラリア南部ビクトリア州で、現地の協力者とともに生物採集をおこないました。採集した生物のうち、先日「オーストラリア南部」の水槽にデビューした魚たちをご紹介します。


ムーンライター

 体に黒い縞模様がある魚はムーンライターです。オーストラリア西部や南部沿岸に生息し、成長すると全長40センチ程の大きさになるカゴカキダイ科の魚です。現在展示している個体は体の後半に黒くて丸い模様が目立ちます。この模様は「眼状斑」(がんじょうはん)と呼ばれ、「眼のある場所=頭」という思い込みを利用して、外敵の攻撃から本当の頭を守るために役立っているのです。さらに外敵を欺くため、本当の眼は黒い縞模様に隠しています。この丸い模様は成魚になるにつれて消えていきます。


バーバーパーチ

 薄いピンクの体色をした魚はバーバーパーチです。オーストラリア南部沿岸に生息しており、全長26センチ程になるハタ科の魚です。展示している個体は全長10センチ程でみんな同じ体色をしていますが、成長するとメスは目の下に青く細い線が入り、オスは体が青みがかった色に変わり体側に黒いライン状の模様が出てきます。

 長旅を経てはるばる水族園にやってきたこれらの魚たちは、健康状態の確認のためにしばらく裏側の水槽で飼育していました。到着直後は水槽内で隠れてなかなか姿を現さなかったので不安になりました。しかし、徐々に環境に慣れたてきたのか、数日後にはすばやくえさを食べるようすも見られるようになりました。

 展示水槽にデビューして3週間程たったムーンライターとバーバーパーチたち。今では水槽内を所狭しと泳ぎまわるほど、同居する生き物たちにも慣れてきました。今後、成長にともない、体色や模様が変化していくようすをぜひ見に来てください。

〔葛西臨海水族園 飼育展示係 柳下悠〕

(2018年03月16日)


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