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キングジョージ島調査採集レポート[番外編]はじめまして、南極の生物たち
 └─2018/03/08

 葛西臨海水族園南極調査チームが採集した生物は、南極のキングジョージ島から合計約100時間の長旅を経て、日本へとやってきました。生物を送り出した後も調査チームは機材の後片付けのためにまだチリに残っているため、水族園では送られてくる生物を別のスタッフが受け入れます。

 ほぼ地球の反対側から生物の受け渡しリレーをおこなうので、“送り側”と“受け入れ側”のチームワークが重要になります。梱包した際の水温や水量、どの袋にどんな生物が入っているか、輸送ルート(航空会社や便名)や輸送時間(経由地でのトランジット時間等を含む)など、あらかじめに念入りに打ち合わせをします。

 チリのサンティアゴ空港で換水して生物を無事に飛行機に載せたという知らせを受け、水族園側では輸入のための手続きなどを整えました。生物の入ったクーラーボックスは、国際線を乗り継いで45時間後に日本に到着し、空港での通関などの手続きを終えて水族園へ運び込まれました。

南極から届いたクーラーボックス
厚着の状態で予備水槽への搬入作業をおこなう

 クーラーボックス内の生物の梱包を解き、いったんバックヤードの予備水槽へと収容します。極地の生物の予備水槽は室内全体が冷蔵庫のような室温3℃前後の部屋にあるため、スタッフは上の写真のように厚着で作業にあたります。ビニール袋のまま水槽に浮かべて袋の水温を合わせ、少しずつ水の塩分やpHなどを近づける「水合わせ」の作業を慎重におこない、ようやく予備水槽に生物を搬入することができます。


長旅を経て水族園へ到着した南極の生物、マーブルドノトセン(展示はしていません)

 南極採集は毎年ではなく不定期におこなうため、私にとっては初めて南極から生物を受け入れる経験になりました。実際にたずさわってみて、遠く離れた南極の生物を日本で飼育・展示できるのは、たくさんの方々の協力があってのことだと実感しました。

 南極からやってきた生物たちは、状態が落ち着きしだい、順次展示していく予定です。そのようすはまたお伝えします。

〔葛西臨海水族園調査係 君島裕介〕

(2018年03月08日)


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