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キングジョージ島調査採集レポート[4]
 └─2018/02/27

 2018年1月31日からおこなっているキングジョージ島での生物採集では、採集した生き物を輸送するまでの間蓄養、つまり一時的な飼育をします。ここキングジョージ島エスクデロ基地には、INACH(チリ南極研究所)の研究施設があり、海の生き物を飼育する設備の準備も進んでいるのですが、まだ使うことができません。そこで、輸送用の大型クーラーボックスを基地建物の日陰に並べ、海水を溜めて蓄養水槽としました。

並べたクーラーボックスに採集生物を振り分けて飼育する
毎日、水槽の底掃除と換水は欠かせない

 クーラーボックスを使った蓄養水槽は、採集を重ねるごとに生き物が増えていきます。大きさや種類によっては他の生き物を食べてしまったり、ケンカしたりすることもあるため、小さなケースで小分けにしたり、水槽そのものを分けたりといった注意も必要です。また、南極とはいえ、天気のよい日は日中の気温が4〜5℃まで上がることもあります。そんなときは、プラスチックボトルに雪を詰めて蓄養水槽に浮かべ、水温が上がらないよう注意しています。

 海水を溜めただけの水槽では、生き物のフンなどですぐに水が汚れてしまうため、底に溜まったゴミを毎日サイフォンホースで吸い出して掃除し、海水を1/3〜1/2ほど交換します。ここで使う海水は、蓄養場所から150メートルほど離れた海岸から運ばなくてはなりません。毎日150リットルほどの海水を運ぶのはなかなかの重労働です。

 こうして、採集した生き物は、2月20日に予定している日本に向けた輸送の日まで、大切に蓄養します。

・これまでの記事
キングジョージ島調査採集レポート[1]
キングジョージ島調査採集レポート[2]
キングジョージ島調査採集レポート[3]

〔葛西臨海水族園調査係 児玉雅章〕

(2018年02月27日)


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