みなさんは、「鳥」と聞くとどのような特徴を思い浮かべるでしょうか。空を飛ぶ、または卵を産むといった行動を想像しますか。しかし、忘れてはならない特徴があります。それは「くちばし」です。鳥のくちばしは、えさを捕まえたり食べたりしやすいように形が適応しています。また、使い方にもさまざまな秘密が隠されています。
そこで、葛西臨海水族園で飼育・展示している鳥の中でも特徴的なくちばしをもつエトピリカとクロツラヘラサギについてご紹介しましょう。
まず、「海鳥の生態」で展示しているエトピリカです。野生のエトピリカは海に潜ってオキアミや小さな魚を捕まえてくらしています。しかし、繁殖期になるとひなのために魚を巣まで持ち帰ります。エトピリカのくちばしは大きく、一度に多くの魚を運ぶことができるのです。野生では一度になんと64尾もの小魚を運んだ記録があります。飼育下でも、繁殖期には親鳥が魚を運ぶ懸命なようすが見られます。
くちばしが特徴的な水族園の鳥、もう1種は「水辺の自然」で展示しているクロツラヘラサギです。くちばしの先端がへらのような形をしているため「ヘラサギ」と呼ばれています。野生では河口や干潟で魚やエビ、カニを探して食べます。
クロツラヘラサギが水にくちばしを入れたら注目してください。口を半分開いた状態で左右に振りながら歩いているようすが見られます。えさを探しているのです。開いたくちばしの内側に魚などが触れると捕まえて食べます。へら状の部分は、魚を挟んで捕まえるために役立つのです。この行動は夕方によく見ることができます。
今回紹介した2種類を含め、水族園では9種類の鳥類を展示しています。似たくちばしをもつ鳥もいますが、やはり種ごとに少しずつ形や使い方が異なります。水族園にお越しの際は、ぜひくちばしをじっくり観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 川上壮太郎〕
(2018年02月23日)