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キングジョージ島調査採集レポート[2]
 └─2018/02/23

 私たち葛西臨海水族園南極採集チームが採集をおこなっているキングジョージ島の海には、泥底に点在する「藻溜まり」のほかに、水深5メートルほどの斜面に広がる「岩場」があります。海底には大小さまざまな大きさの岩が広がり、ところどころに海藻が生えています。ここでは「藻溜まり」とは異なった生物が観察できたので、その一部を紹介します。


オドンタステルウァリドゥス

 採集を開始し海底を見渡してみると、あまり生物が多い印象は受けません。しかし岩を丁寧に裏返してみると、さまざまな生物が見つかります。まず目についたのは、ヒトデのなかま、オドンタステルウァリドゥスです。グレーや黒の岩場の中では、その体色はとても映えて見えます。


アンタークティックスパイニープランダーフィッシュ

 引き続き岩を裏返していると、岩にうまく擬態をしている魚を見つけました。この魚はアンタークティックスパイニープランダーフィッシュという名で、色や姿は海底の岩にとてもよく似ています。


ゴーディノトセン

 続いて岩場にある海藻の周辺で生物を探してみます。こちらも生物にとってよい生息場所となっているようで、近づくと多数のカサガイのなかまやヨコエビのなかまが観察できました。そっと海藻を動かすと、その下の岩の間からオレンジ色をしたノトテニア科の魚、ゴーディノトセンが顔を出していました。

 これらの生物は展示用に採集をしています。採集や南極での蓄養(一時的な飼育)のようすは、次の記事でお伝えします。

・これまでの記事「キングジョージ島調査採集レポート[1]

〔葛西臨海水族園調査係 松村哲〕

(2018年02月23日)



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