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大きく広げるだけじゃない!フライングガーナードの胸びれの使い方
 └─2018/02/16

 ぱっと目を引く色彩や姿。見た目が派手な生物にはそれぞれ理由があります。葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「ブラジル沿岸」水槽では、鮮やかな赤色をしたクレオールフィッシュや平べったいユニークな姿のルックダウンなどを展示しています。


 そんな個性的な顔ぶれの中から、今回はフライングガーナードを紹介します。この魚の特徴の一つは大きな胸びれです。胸びれを真横に広げ、バランスをとりながら泳いでいる姿はまるで飛んでいるかのように見えます。そんな泳ぎ方から「フライング」の名がついたのかもしれません。

 また、驚いたときなどにこの特徴的な胸びれを大きく広げて自分の姿を大きく見せ、敵から身を守っているのではないかといわれています。胸びれは青色に縁取られ、赤や茶色地の中に白い水玉模様が入った派手な柄です。このカラフルな胸びれを一気に広げることで敵の目をくらませる効果もあるそうです。


 胸びれを使うのは泳ぐときや敵を驚かすときにだけではありません。フライングガーナードは砂地などの海底に生息し、地面を歩くように移動します。胸びれには大きく広がる部分とは別に、足のようになっている部分があります。この部分を遊離軟条(ゆうりなんじょう)といいます。遊離軟条は感覚が発達していて、えさのにおいを感じ取ることができるといわれており、砂を叩くようにして、隠れているカニや貝、小魚などを探して食べます。水槽内でも砂をポンポンと叩いてえさを探し、小さい生物でも見つけたのか、ときおり砂を口に含み、何かを食べていることもあります。


【動画】砂上を叩きながらえさを探すフライングガーナード


 日中はバックヤードを通る飼育係からえさをもらおうと水槽の上のほうを泳いでいることが多いので、この行動を見るには夕方が狙い目です。派手なだけではない、意外に器用に動くフライングガーナードの胸びれに注目してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 石神まゆか〕

(2018年02月16日)


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