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大きな吸盤をもつロックサッカー
 └─2018/02/02

 葛西臨海水族園の「世界の海」エリア「南アフリカ沿岸」水槽では、ロックサッカーという魚を展示しています。ロックサッカーは最大で全長30センチほどまで成長する魚で、ウバウオ科の大型種です。

 ロックサッカーの最大の特徴は、お腹側に吸盤を持っていることです。流れの強いところでも、この吸盤のおかげで岩などにはりつき、その場にとどまることができます。

 じつはこの吸盤は腹びれが変化したものです。腹びれというと、通常は左右に1つずつついていますが、ロックサッカーは左右の腹びれが合わさって1つの吸盤になっているのです。

 水槽内でもやはり泳ぎ回ることはせず、隅っこにいるのが好きなようで、水槽の端の岩や壁面にはりついてじっとしていることがほとんどです。それに対して、えさを採るときはすばやい動きを見せます。体が壁や地面から離れないようにお腹をこするように動き、えさに狙いを定めて“ビュン”と飛びつきます。

 一回一回、バタバタとせわしなくえさを食べるようすは、見ていてとても愛らしく、応援したくなるほどです。また、まれにアクリル面にはりついていることがありますので、そんな状況にいあわせたら、なかなか見られない吸盤をじっくりと観察してみてください。

水槽裏から見たロックサッカー。
えさに狙いを定めている。青い部分が垂直面
アクリル面に吸盤ではりついている

 一般に魚のひれは泳ぐために使いますが、ロックサッカーのように別の形に変化し、違った使い方をする魚もいるのです。魚はそれぞれの生活にあったひれの使い方をしているので、ひれに注目して観察をするときっと面白い発見があるはずです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 市川啓介〕

(2018年02月02日)


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