2017年の9月下旬から、葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「インド洋I」水槽でハタタテギンポを展示しています。ハタタテギンポはおもに琉球列島、インド洋、西太平洋などの熱帯域に生息するイソギンポ科の魚です。成長しても全長7センチほどの小型の魚で、暖かい海の海草が生えているような環境に生息しています。背びれの前端が伸びているのが特徴的です。
「インド洋I」水槽では過去にもハタタテギンポを展示したことがありました。今回久しぶりの展示です。展示に出す前のバックヤードではいつも物陰に隠れておどおどしたようすだったので、ミスジリュウキュウスズメダイやデバスズメダイたちに負けてしまわないか心配でした。
しかし、今では水槽の環境にも慣れてきたのか、スズメダイたちに負けることなく、海草リュウキュウスガモのあいだを泳ぎ回っていてほっと一安心。ハタタテギンポどうしでひれを大きく広げて体を大きく見せるなど、縄張り争いをするまでになっています。
泳ぎ方も特徴的で、胸びれと尾びれをすばやく動かして水中をホバリングしているように泳ぎ、よくリュウキュウスガモの表面のコケを食べていることがあります。また、巣穴としている貝殻の中からひょうきんな顔を覗かせている姿は愛嬌があり、見ている人を飽きさせない魚です。
たくさんの生物を展示している「インド洋I」の水槽ですが、担当者いち推しのハタタテギンポをぜひじっくりと観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 遠藤周太〕
(2018年01月19日)