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あるウミガラスの不思議な習慣
 └─2018/01/13

 みなさんは年が明けると初詣に行ったり、おせちを食べたりする習慣があると思います。中には、毎年同じ場所で年越しをすると決めている方もいるのではないでしょうか。こうした「決まった習慣」を見せるのは人間だけではありません。生き物にも習慣とでもいうべき不思議な現象が見られることがあります。


 それは東京大学大気海洋研究所と共同研究をおこなったときのことです。ウミガラス5羽に小型の記録計を装着し、2週間行動観察を続けたところ、なぜか1羽が毎朝6~7時に必ず水中に入ることがわかりました。

 ウミガラスは、1年の大半を海上で過ごし、「飛ぶ」そして「潜る」という行動を両立させている海鳥です。しかし、飼育下では年中陸地で過ごすため、足に負担がかかり、痛めてしまうことがあります。

 この習慣がなにかの刺激に反応しているのであれば、その刺激を再現したり、刺激が生じる状況を作り出してやれば、水に入ってくれるはずです。水に積極的に入ってくれれば、足への負担も少なくなるのではないでしょうか。


 しかし、なにが刺激になって水に入るのか、見分けることはできませんでした。まわりが明るくなったことに反応しているのか、はたまた、ただ体が汚れているからなのか、はっきりした理由は今もわかりません。

 一見すると同じことをしている生き物たちも、よく観察すると個体ごとに行動に違いがあります。その理由をつきとめることは簡単ではありませんが、葛西臨海水族園でじっくり生き物を観察すると、不思議な行動や習慣が見つかるかもしれませんよ。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 野島大貴〕

(2018年01月13日)


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