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鋭いトゲがガードマン、ハシナガウバウオのくらし
 └─2017/10/27

 ハシナガウバウオは、その名のとおり吻が前の方に長く突出したウバウオ科の魚で、日本では伊豆半島以南に見られ、インド洋や西太平洋に広く分布しています。全長は約5センチになり、体は細長く、赤褐色に黄色い縞模様のコントラストが目立ちます。


 ウバウオのなかまの特徴として、腹びれが吸盤状に変化し、岩などに吸い付くことが挙げられますが、水槽の中のハシナガウバウオは細長い体をくねらせるように動かしながら泳ぐようすも見られます。

 ハシナガウバウオは自然の海ではウニのなかまのガンガゼ類の近くにいることが多く、何か危険を感じると、その鋭く長いトゲのあいだに逃げ込んで、敵からの攻撃を避けることができます。ガンガゼのトゲには毒があり、私たちが作業中にうっかり刺されると、少し不愉快な痛みとしばらくのあいだお付き合いということになります。ハシナガウバウオにとってガンガゼは、とても頼りになるガードマンのようです。

 またハシナガウバウオの縞模様の体色も、カンガゼの中の入るとトゲに紛れて目立ちにくいデザインなのかもしれません。

 水槽の中では襲ってくる敵がいないためか、ハシナガウバウオがガンガゼのトゲの中にいるところが見られるのはまれですが、運がよければその場面に出会えるかもしれません。ハシナガウバウオは葛西臨海水族園「東京の海エリア」の「伊豆七島の海3」でご覧になれます。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2017年10月27日)


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