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愛嬌のある顔に意味あり!? ボラの「への字」の口に注目
 └─2017/09/01

 「ハク」「オボコ」「イナ」「ボラ」「トド」──成長するにつれ呼び名が変わる「出世魚」として知られるボラ。「とどのつまり」という言葉は、ボラが最後に「トド」となることから生まれたと言われています。内湾の浅いところでよく見られ、東京湾でも代表的な魚のひとつです。


 ぜひ注目していただきたいのは、愛嬌のある正面顔と「への字」に曲がった口。じつは、このへの字に重要な意味があるようです。

 唇の内側には細かい歯が並んでいて、上唇は前後に出し入れすることができます。頭部を左右にぶんぶんと振りながらすばやく上唇を出し入れすることで、水面や泥の中の微細な藻類や有機物をとらえるのです。このとき、うすい下唇が「ちりとり」の役割をしているというから感心してしまいます。

 葛西臨海水族園の「東京の海エリア」のいくつかの水槽で、じっくりとボラを観察することができます。「渚」水槽では、全長50センチほどのボラが群れを作って泳いだり、浅場の水底で頭部を振りながら泳ぐようすを見ることができます。また、「アマモ場」水槽や「東京湾の漁業」水槽では、全長20センチほどのボラがアマモ群落のまわりを泳いだり、水面でえさを探したりするようすを見ることができます。

 ボラがこっちを向いたらチャンス、「への字」口にも注目してください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕

(2017年09月01日)


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