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夏の東京湾を代表する魚、スズキの展示
 └─2017/07/07

 スズキは夏に旬を迎える白身魚の代表魚で、ちょうど今の時期(6~8月)に刺身や洗い、塩焼きなどでよく食されます。スズキという名前の由来には諸説ありますが、ひとつには刺身等に調理される白身が「すすぎ洗いをしたように美しい」ことから名が付いたとも言われています。また、成長するにつれて呼び名が変わる出世魚であり、関東では「コッパ→ハクラ→セイゴ→フッコ→スズキ」と呼ばれ、最大で1メートルくらいまで大きくなります。


スズキ

 水族園ではスズキを東京の海エリアのふたつの展示水槽で飼育しています。ひとつは「東京湾の漁業」の水槽で、ここでは全長約30センチの成魚が見られます。スズキは東京湾などの内湾で定置網や刺し網等の沿岸漁業で多く漁獲され、千葉県が全国一の水揚げ量となっています。

 もうひとつは、2階にある「葛西の海」の水槽で、水族園の地先に広がる人工の干潟「西なぎさ」をイメージし、こちらではスズキの幼魚を展示しています。

 スズキの体は細長く側扁、つまり左右の厚みが小さく、成魚の体は黒っぽい銀白色で、光沢があります。幼魚は明るい体色をしており、体の上半分に小さい黒点が見られることがありますが、成長にともない見られなくなります。

 スズキは冬になると湾口部や外海に面した岩礁域で産卵し、孵化して成長した幼魚は夏が近づくと沿岸から汽水域へと入ってきます。水族園では地先の西なぎさで地曳網による生き物調査を定期的におこない、採集した生物を展示しています。

 小さな「葛西の海」の水槽で大きくなった個体は、より広くのびのびと泳げる大きな「東京湾の漁業」の水槽へ移します。現在いる成魚は2014年4月に採集した個体で、当初は全長3~4センチでしたが、3年ほど飼育して30センチくらいまで成長しました。

 スズキは「シーバス」とも呼ばれ、餌釣りやルアー釣りの対象魚として人気があり、水族園が位置する東京湾の湾奥部はよい釣りのポイントになっています。スズキの鰓蓋(えらぶた、さいがい)には鋭い棘があり、針にかかったスズキは口を大きく広げて暴れ、鰓蓋で釣り糸を切ろうとします。この行動は「スズキの鰓洗い」として知られています。

 葛西臨海水族園の目の前に広がる東京湾と関わり深いスズキたちをぜひご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2017年07月08日)


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