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悠々と群れ泳ぐテングダイ
 └─2016/05/20

 大きな背びれをもつ扁平した黄色い体に黒い縞模様、さらに尖った口の下にヒゲ状のヒダを蓄えるのが特徴のテングダイ。全長40〜50センチにもなるテングダイが悠々と群れ泳ぐ姿は圧巻です。テングダイは、国内では北海道から九州・八丈島・小笠原諸島などの水深18~250メートルの砂地や岩場にくらすスズキ目カワビシャ科の魚です。このたび葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「伊豆七島の海2」水槽では、テングダイを10尾増やしました。


 水族園では魚が搬入されると、多くは一度バックヤードで飼育し、体調がよくなければ治療し、しっかりとえさを食べるようにしてから展示水槽へ移動します。ここ数年、バックヤードに搬入したテングダイは、照明を薄暗くして極力落ち着かせたり、よく食べそうなえさを中心に与え、なるべく早くえさに慣れさせようと、あの手この手で奮闘してきました。しかし、中にはえさに慣れず、体調をくずす個体も珍しくありませんでした。

 今回搬入した個体はとても調子がよく、搬入10日後には早くも全個体がえさに慣れてよく食べるようになり、体調をくずすこともありませんでした。ここ数年、なかったことです。テングダイはしっかりえさを食べ続けないと体調をくずしやすいので、えさを充分食べさせるには、何よりも落ち着ける飼育環境を整えることが必要です。今回、とくに照明を薄暗くしたわけではありません。「何か」テングダイが落ち着ける重要なポイントがあったはずです。はたして何なのでしょうか? 今のところはっきりとはわかりませんが、水質の改善など、私たちの目には見えない要因があるのかもしれません。


 現在、「伊豆七島の2」水槽にはテングダイが11尾いますが、他の種類の魚も多く、やや落ち着きがありません。早くこの水槽に慣れてくれればと願っています。悠々と群れ泳ぐテングダイの姿は見ものです。どうぞご期待ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕

(2016年05月20日)


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